社長が現場で日々思うこと

平成30年 12月

今月の「社長が現場で日々思うこと」は、社長が住宅性能の勉強や年末で多忙の為、又私の得意分野、規矩術の話もあるので私が代わりに書かせて頂きます。
三幸住宅 大澤

今回は伝統技術と最新住宅性能へのこだわりについてお話させて頂きます。

私達は和風住宅専門店としてやらせて頂いています。
むくり屋根の家や置き屋根の家、30度曲がった家などを造らせて頂いてきました。
また、土蔵の修理なども行ってきました。

住宅大工であり、宮大工ではないのですが、こういう住宅を造っていたらお寺や神社の相談も受けることがあります。
本殿や塔などは大変だと思いますが、今まで水屋の柱交換や建具調節、本殿を囲む木塀の補修・板金屋根交換などやらせて頂いてきました。

■水屋~四方転びの柱~

この前、「水屋が風で倒れてしまったから、新しく建てられないか」というお話をもらいました。柱の根元部分が雨で傷んでしまい、台風などの強い風で倒れてしまったのでしょう。

水屋の柱は、四方転びになっています。
柱を、柱半分から1本程度内側へ倒し、各々内側へ力がかかるように小屋組みを支えているので、風や地震などの横の力がかかっても倒れにくい構造になっています。もちろん住宅の様に筋交いや壁(面材)を付けても横からの力には耐えられますが、柱と頭貫、桁梁などの小屋組みだけの構造体で見た目もよく、安定した建物にしようとした昔からの伝統の工法なのです。

垂直に立つ柱なら、長さをとり直角に切ればいいですが、四方転びの柱は垂直ではなく少し倒れているのです。その分長さも変わりますし、切り口も直角に切ったら口が開いてしまいます。また、水平に切った時に切った面が正方形になる様に、柱をひし形にします。
そこで「規矩術」というワザを使います。
指矩(さしがね)だけで、勾配のついているモノの角度や長さをだす技術です。
昔の大工さんは、屋根の部分などで規矩術を使っていました。例えば、寄棟造、入母屋造の隅木で使いますし、簡単なものでは垂木の長さや切る角度を出すのにも使います。「30度曲がった家」の化粧谷木、斜めにかかる垂木掛けでも規矩術を使っています。

今はプレカットが主流で、規矩術を使うことが少なくなってきています。大工さんによっては、造る家によっては、規矩術を使う必要のない家もあります。使わなければ忘れ…いや覚えなくてもいいのかもしれません。
しかし、和風住宅では垂木や隅木を自分達で刻み、見せることも多く、規矩術を使えなければ造れません。
そういう家造りをしているので、四方転びの水屋のお話が来たのかもしれません。

元々の建物の復元新築の様になるのか、今相談中ですが、バランスの良い格好良いものが造れればと思います。

■山門補修

お寺の山門の補修のお話も頂いています。
雨などで腰壁や基壇が傷んできている為、腰壁補修、割れている部分の基壇補修等を相談されています。
直すためには部分的に解体し、補修し元に戻さなくてはいけません。木の組み方を知らないと外すことも出来ません。切ってバラバラに壊すなら話は別ですが…。
お寺や神社も木造建築なので、木造大工の基本が分かっていれば、木の扱いが分かっていれば直せるはずです。そこで、私達もお手伝い出来ればと思います

腰板はケヤキの幅の広い板で、普通には流通していないものです。大きさもなかなか無いうえ、乾燥していなければすぐ使うことは出来ません。そういう特殊な材料に強い材木屋さんに探してもらい、幅80㎝の乾燥しているケヤキを見つけてもらいました。
乾燥させる為には何年もかかるので、本当に希少なものを見つけてきて頂きました。

私達大工だけではなく、材木屋さん、基壇の大きい石を直す職人さんにも協力して貰い、良いものを造れればと思います。

■最新住宅性能の勉強

どんな格好の良い住宅でも、住みにくかったら嫌ですよね。寒い家は嫌ですよね。
断熱性能の良い家であれば、エアコンも小さめのもの、少ない台数でまかなえます。健康にも良くぜんそくなどが…長くなりそうなので、この話はまた今度の機会にしましょう。

そういう性能の良い家を造っているビルダーさんの展示場見学に行ってきました。
埼玉の断熱地域はほぼ5地域と6地域です。
4地域と3地域の福島のビルダーさんの展示場や建築中の現場と、4地域の秩父のビルダーさんの最近建てた御自宅の見学会に行ってきました。

どちらの展示場も暖かかったです。玄関ドアを開けた瞬間から暖かい。エアコンをつければ勿論暖かいのですが、30坪程度でも8畳用(2.5kw)程度のエアコン1台でどの部屋も暖かいです。
それは、断熱性能だけではなく、気密も良いからだと思います。
また、間取りの取り方や太陽光・太陽熱の取り入れ方、蓄熱も考えられています。断熱力を上げるため、無駄な窓はなくし、道路面(確か西面)には窓がなかったです。西日が入るのを防ぐと共に、外壁がキャンバスの様になり、植栽や外構が映えて感じました。
しかし、窓が少ないのに室内は暗さを感じなかったです。
吹き抜けが、光と熱を取り込みつつ、上下階の温度差を少なくする効果もあるようです。

ダクト式の熱交換型換気も各部屋の温度差を無くすのに多少役に立っているのではと思います。外からの吸気を、中からの排気の空気と熱交換して(冬なら)暖まった空気を室内各所にある吸気口へ送ります。という事は、吸気口からは内外の温度差の90%程度熱交換された空気が入ってくるので、室内の温度差は少なくなると思います。
メーカーは「熱交換はするけど、各所の温度差緩和は目的ではないので…」と言っていたと思いますが。
その事はまた勉強していきたいと思います。

ダクト式ではない、ダクトレス熱交換型換気システムも見ました。
この機種は空気清浄機の機能もあり、エアコン程度の大きさです。空気清浄機を床に置くよりは掃除の時楽だったり、家具を置きやすかったりすると思います。
ダクトレスならリフォームでも使えますし、音も静かでした。

理論だけではなく、UA値という断熱性能の数値だけではなく、実際建ててある空間で感じ、住んでいる人の話も聞けてとても良い経験をさせて頂きました。その空間に行くことで、その家の、デザインの良さも感じ学べました。

和風住宅の美しさを、伝統を受け継ぎつつ、最新住宅性能を学び生かし、住みやすい家造りをしていければと思います。

■年末のご挨拶

今年度は学ぶことの多い一年だったと感じます。
2020年改正省エネ法義務化に向け、UA値を計算したり、一次消費エネルギー計算をしたり、ZEHビルダー登録もしました。(ZEH基準を満たしていても、ZEHビルダーじゃないとZEH住宅として認めて貰えません)義務化は「努力義務」に変わってしまったようですが…。
しかし、届出義務でも努力義務でも、住みやすい家を造りたい気持ちは変わりません。

←三幸住宅の登録ZEHビルダー・マークです。

計算上の数値だけではなく、実際の建物も見て感じ、色々なお話を聞き勉強させて頂きました。
来年度も学び続け、学び吸収したものを生かし、より快適に住め、美しい家を造っていきたいと思います。
来年度も変わらぬお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。

平成30年 11月

 今回は、9月末にお引き渡しをさせて頂いた、東京都東大和市の物件を紹介させて頂きます。

 このお客さまとの出会いは、ホームページからのお問い合わせが始まりでした。この東大和市という建設予定地は、私達が商圏と出来るギリギリの距離だったので、一度お会いする約束をさせて頂きました。
私達のような小さな会社にお問い合わせをしてくださるお客さまは、平均してもっと大きな建設会社さんの話を色々聞いて、概算見積までとって、かつ少し打ち合わせが進んでしまっている方の割合が多いのです。
そのため、私達にお話しをいただいた時点で、お客さまのイメージする上棟~竣工までの予定がかなり詰まってしまってしまって、時間がない状態になっているケースも少なくありません。

 しかしそこは、私達造り手が自信を持って提案できるものしか造ることが出来ません。
「もう一度、1からお話しをさせて頂きたい。」
「その代わりに、お客さまのご希望に添えるよう、誠心誠意頑張らせて頂きます。」
そのことを本気で伝えたところ、このお客さまから、これから自分の家を建てるために「自分が本当に欲しい物ができるのであれば、上棟予定を数ヶ月延ばしてもかまわない。」というお言葉を頂きました。
造り手の私達とすれば、そこまでお客さまに言って頂けて、もう、お手伝いをしない理由がないので、至急プランニングを始めさせて頂きました。

 このお客さまのご要望は、購入された土地があまり広くないため、シンプルで瓦葺きの町屋風和風住宅を、ということでした。
立地条件は「北側道路」「左右に住宅あり」尚かつここは東京都。地元川越で家を造るより斜線関係も厳しい・・・。
さて、どうしてくれようか?お客さまのご要望にどう答えようか?かなり試行錯誤しながらプランニングを続けていき、お客さまも最初から最後まで、一生懸命お付き合いくださいました。
お客さまと造り手、コストも間取りも少しずつ妥協点を探りながら打ち合わせを重ねて、プランニングから確認申請までで10ヶ月、上棟して3ヶ月半・・・。

 そして出来上がったのが、約28.5坪「住宅街に建つ町屋風住宅」です。

■外観

 基本は総2階。総2階は土地が狭い場所でできるだけ部屋数を増すのに有効なのと、家の性能計算をする時にも有利になるのですが、デザイン的に変化がつけづらいので、その部分をどうするかがポイントです。
それと写真左側の屋根(西側屋根)の部分が斜線により、型を「への字」にする必要があったので、このデザイン処理をどうするか?
 もうひとつ、隣地境界もギリギリのため、軒の出も思ったように出せない・・・。和風住宅の見た目では一般住宅と比べてより「軒の出」「妻の出」が大切なので、このデザイン処理をどうするか?
これらが重要な問題でした。
 斜線や境界線がある以上仕方のないことなのですが、見た目でバランスが崩れたように見せない工夫が大切・・・。見た人が何の違和感も感じないようにする、造り手のテクニックが必要です。
 屋根の仕上げは、コストを抑えるために上屋(2階屋根)はガルバリウム、下屋には和瓦(本いぶし)を採用。お客さまは「どうしても瓦が良い」とおっしゃっていたのですが、「見えない(見えづらい)部分はコストを抑えた方が良い。見た人がガルバリウムと気付かないようにできます。」と説明し、納得して頂きました。
上屋をガルバリウム鋼板葺きにするのですが、棟だけを瓦で積み上げ、正面から見た時に上屋、棟の鬼瓦だけが見えるように工夫して、下屋をすべて瓦葺きにしました。これならば誰が見てもすべてが瓦葺きと見える。自信がありました。
 また北側すべてと東側の窓の一部に木の面格子を使うことで、町屋の雰囲気と豪華さを演出し、目隠し効果でプライバシーも守れるようにしました。北側のため、昼間の太陽の熱取得を妨げても、あまり室内環境が影響を受けないと判断しました。

■玄関ホール

 玄関を開けると、この様な雰囲気になります。
意匠設計での考え方としていつも私が気を付けていることのひとつに、空間の統一性があります。例えば同じ空間なのに、入り口のドアや収納を見ただけで、(開けなくても)「ここはトイレだな・・・」「ここか脱衣所か・・・」「これは下駄箱でしょ」などと解せないようにデザインする、ということです。
床には畳調の素材、建具はすべて障子風にすることで、和の統一感を出して、まるで和室の中に入ったかの様にデザインしています。
 階段も同じく、できるだけ同一空間にあることの違和感のないように、手すりひとつの細かい部分にも少しずつ手間を掛けます。

■LDK

 LDKに関しては、コスト面もあるので、新建材と無垢材の併用でまとめました。
大きい一間の空間なので、デザインが単調になってしまわないように東面の窓の障子を少し違った色を使ったデザインにしました。
 このデザインにもちゃんと意味がありまして、お客さまのお名前が太陽の方向をイメージさせるお名前だったのと、東から陽(太陽)が昇るということから、朝日が昇ってくるように、この家族がこれから暖かい関係でどんどん高く昇ってくれれば良いなという造り手の思いを反映させました。

■ダイニングテーブル

 お客さまのリクエストでダイニングテーブルを造りました。
材種は「竹」と「桧」と「カリン」です。大工がこういった物を造ると家具量販店でダイニングテーブルを買うより少し高くなってしまいますが、テーブルの高さ、幅、長さもミリメートル単位までフルオーダーできるので、価値は十分あると思います。
 テーブル面には竹の枝を編んだもの、天板の側板部分と足元にカリン材の赤紫色を使うことによって、高級感とおしゃれ感を出しました。

■夜景

 夜、すべての照明を灯すとこの様になります。
意匠的には、夜にこの建物がどう映るのかイメージすることも大切です。

■最後に・・・~お客さまへ~

 この現場は、私達の会社から車で1時間~1時間20分程度・・・。現場としては少し遠いという条件でした。
お打ち合わせも思ったより時間が掛かり大変でしたが、Hさまの家に対する思いを少しでも多く実現してあげたいと造り手一同一生懸命頑張りました。
おかげさまで、私達造り手も自信を持って引き渡すことが出来る建物に仕上げられて本当に嬉しく思っています。
これから一生のおつき合いになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

平成30年 10月

今月は「家楽くらぶ」開催のご案内をさせていただきます。

■「家楽くらぶ」って何?

現在進められている日本の住宅の仕様で(ハウスメーカー・工務店問わず)「この仕様が一番良い」なんていうものはありません。
逆に「この仕様は絶対ダメ」というものも基本的にはありません。どんな建物の仕様にも必ず「メリット」「デメリット」は存在します。

お客さまが住宅メーカーを何社か回って話を聞くと「私どもの建物の仕様(性能)は他社より優れています」的なニュアンスで営業が始まりますが、それは色々な住宅建材の特性をよく知らない会社(営業マン)ほど平気でそういった話をしてしまいがちです。

そういった住宅営業にお客さまが誘導されたり、色々な会社の話を聞き過ぎてお客さま自身「もうよく分からなくなってしまった」などという様なことが少しでもなくなればと思い、この度、私がずっとやりたかった主旨の家づくり学校~家楽くらぶ~を開催する準備ができました。

この「家楽くらぶ」は家(住宅)に興味があるすべての方々が対象です。

Q. 家に興味がある方々とは?
A.
    ① 家に工事を入れる予定はまだないけれど、ただ建物に興味がある方
    ② もう施工業者さんと打ち合わせが始まっているけれど、とりあえず話を聞いてみたいという方
    ③ セカンドオピニオン的に色々確認してみたい方
    ④ 色々な施工業者と話をした結果、結局何が良いものかわからなくなってしまった方
    ⑤ これから家の新築を考えている方
    ⑥ これから家のリフォームを考えている方
などなど・・・。家に興味のある方でしたら誰でもOK wink

■「家楽くらぶ」を始める経緯と意味

私自身、お客さまから注文を受け、家を新築・リフォームさせていただく仕事で生活させていただいております。
そんな中お客さまに、もっともっと総合的に良い提案が出来たら・・・と思い、できる限り全国の地場で頑張っている(主に北日本)施工業者さんを視察に行ったり、並行して私自身も住宅環境を理論的に勉強する科学の塾にも通っています。

この様に、本気で家造りに取り組んでいる仲間達と出会い、色々な勉強をさせてもらっているうちに、自分でも一般の方々に「いままで施工業者が誰も言ってこなかったこと」「家造りの本当の情報」をできる限り分かり易く伝えられる場がもてたら良いなと、ここ数年考えていました。

そんな思いの中、機会があれば他社さんが一般の方向けに開催している「家づくり教室」的なものも見学させていただくのですが、その話を聞いても、なんとなく腑に落ちない部分が多くありました。

なぜなのか・・・?それは、基本的に自社の仕様・性能の良い部分を中心に話を進めること、逆にリスクとなる部分の説明はほぼしないということだ、と自分なりに理解しました。
しかし、それはある意味仕方ないことなのかもしれません。会社側も、仕事をとるための営業活動の一環としてこういった場を設けているのですから、どうしてもこの様なパターンになってしまいます。

これでは一般の方(お客さま)がハウスメーカーの住宅展示場や地域ビルダーへ話を聞きに行った時に、各社仕様が違うにも関わらずそれぞれが自分の会社の仕様は他社のと比べてここが優れていると説明される事になります。
そして、聞けば聞くほど何を選んだらいいか分からなくなってしまい、最後は家の良し悪しではなく営業マンの人柄で契約をしてしまう、というケースも少なくないようです。家を買いに行っているのに、です。

家づくりに関して、私はお客さまがこういった状況になってしまうことは、できるだけ避けるべきだと考えています。

お客さまにとっての理想的な家づくりとは、お客さま自身が自分の家に採用する建材すべての「メリット」「デメリット」を理解して、ひとつひとつ決めながら形にするということなのですが、住宅に使われる数百種類の建材すべてを理解して自分で決めていくというのはかなり難しいことなので、現実的には不可能と言ってもいいでしょう。
そこで、私が代わりに選ぶポイントを中心に、分かり易くアドバイスが出来たら良いと考えています。

■「家楽くらぶ」に参加してくださる方へのお約束

この会は、私自身が直接仕事をとるための場ではありませんので、参加してみようと思ってくださる方々のストレスにならないように何点かのお約束をさせていただきます。

① 自分の会社の仕様は具体的に紹介はしません。
② 参加してくださる方の個人情報(住所・電話番号)などは一切伺うことはありません。(※ただし、その場で私は誰と話しているのかは知りたいので、お名前(名字)だけお聞かせください。)
③ この会は参加してくださる方々の率直な質問で、私自身あらためて気付かせていただく事も多いと思います。できるだけ参加してくださる方々の質問を中心になり立つ会にします。

最後に、
④ 家は営業マンに売られるものでも、職人さんに造らせるものでもなく「自分達に一番似合うものを、楽しみながら造っていくもの」この部分をこの会のメインコンセプトとして考えます。

平成30年 9月

今回は、先月8月にお引き渡しをさせていただいた、志木市の物件を紹介させていただきます。

このお客さまは、私の叔母の親戚ということで、家を新築するにあたりご紹介をいただきました。
家族構成は、30代前半のご夫婦と娘さんひとりで、ご夫婦二人とも働いているということもあり、家のコンセプトは「収納豊富な家事楽な家」ということにしました。
ご夫婦とも、細かい家のイメージがあまりハッキリしていないということもあったので間取り先行で、意匠的には私達設計・施工側が主導で提案しました。

【外観】
間取りを先行しながらも、意匠的にはシンプルでお洒落な感じを出すことに心がけ、いつも通り深い軒を出したのですが、1階南側の突き出た部分はデザイン性を重視してパラペットタイプ(あえてベランダを続けるようにして四角形の箱型)にしました。
家のためには軒の出は深い(長い)ほうが良いといつも考えている私としては、少し迷いもあったのですが、今回はこのデザインに決めました。
【LDK】
LDKは16帖あります。
デザインイメージはシンプルで「天井・壁・床・窓枠・間口部枠」は無垢材やナチュラルな色を使って「優しく、やわらかい」感じに仕上げ、アクセントとしてオーダー建具に「うすいピンク・うすい黄色・うすい緑」などのアクリル和紙、キッチンの前の壁にはモザイクタオルなどを使いました。
【収納】
私達が住まいを造る上で、その家の面積(坪数)が大きい小さいに関わらず一貫して拘るのは「住みやすさ、使いやすさ」です。
その代表的なものが収納と造り付け家具です。

■下駄箱
三幸住宅が造る下駄箱(シューズクローク)はこの数年、基本的にはこのタイプを多く造っています。
私自身、見た目が「下駄箱です!」というのがあまり好きではないのと、収納量が多いという2点からです。
この仕様は「高さ2,000mm×幅1,600mm」というクローゼット(三枚引き戸)扉をつけて、その中に「後側:奥行き400mmの全面可動棚収納」「前側:左右にスライドする奥行き400mmの可動棚収納」という造りになっています。
4~5人家族なら、靴だけではなく傘、洗車道具、その他外で使う様な小物もすべて収納できるようにしています。
■家事室収納・食品庫(その一)
洗濯物をたたんで収納したり、洗剤のストック、食品のストック、その他生活雑貨のストックを収納するのは奥行きが300mm~350mm程度がベスト、この奥行きでできるだけ幅が広い方が収納力が上がります。
この家の家事室収納は、高さ2,000mm×幅1,600mmの対面(×2)という収納スペースがあり、全面可動棚になっています。
■家事室収納・食品庫(その二)
これは家事室の折りたたみ式作業台です。
この台は洗濯物をたたんだり、アイロンをかけたり出来ます。この写真には写っていませんが、作業台の左側のスペースは洗濯物置き場になっているため、洗い物入れ(洗濯カゴ)を置くことも出来ます。
■その他の造り付け家具
ちなみに住宅性能(断熱性能)はUA値0.47です。この数値が高いのか?そうでもないのか?には色々な考え方がありますが、私達三幸住宅としては、最低これくらいのUA値は確保したいものです。

■最後に
この家で「家族仲良く、楽しく、元気に生活してもらいたい」というのが、私達造り手の思いです。
そうそう、この家では近いうちに新しい家族が増えるそうです。

平成30年 8月

今回は新築時の現場性能測定についてお話ししたいと思います。

現在の新築住宅は国の政策もあり、断熱性能を重視しています。
断熱性・住宅性能に関するお話しは、過去にここでも色々書かせていただきました。
これまで書かせていただいた性能に関するお話は、国の省エネルギー政策(ZEH)を元にしたお話です。
このZEH基準事項からは外されている部分でも大切な数値はあるのですが、国がこの数値を義務化していないのは、色々な目論見(もくろみ)があるのだろうと推測しています。

そのひとつがC値(隙間相当面積)です。
なぜC値が大切か?を簡単に説明すると、その建物のすべての隙間(例えば、サッシ廻り、コンセント・スイッチ廻り、LANケーブル・エアコン配管廻り、照明器具廻りなど)をすべて集めたとして、その合計の面積がどれくらいあるか?という数値です。
(※隙間の量なので、数値が小さければ小さいほど良いということになります。単位はcm2/m2)
UA値(断熱性能)が良くてもC値が悪い(隙間が多い)と、サッシをすべて閉めてエアコンを運転させても、どこかの窓が開いている状態と同じことになってしまいます。
C値に関しては、一定レベルで施工している住宅メーカーや工務店、設計士さんなどは当然のように測定しています。

私は自分が施工業者という立場から考えると、C値の悪い家を造ってしまっている会社はまだいいという部分もあります。それは施工業者側がC値が悪いと認識できているからです。
認識しているということは、C値測定をしているからです。測定をしているということは、少なくとも隙間をなくそうと施工していますから、たとえ今回C値が悪くとも、必ず次の1棟、その次の1棟と施工精度は確実に良くなっていくはずだからです。
一番いけないのが、施工業者が自分達で施工しているお客さまの建物のC値が分からないということです。設計上UA値を上げて提案しても、C値が分からないとその建物は「快適」で「低燃費」なものにはなりません。UA値とC値は必ず連動・直結します。

C値測定に関しては、出来れば構造体(住宅施工中の気密工事が終わった時点)で1回、お客さま引き渡しの時点(エアコンなどがすべて取り付け終わった状態で、すぐにお客さまが住めるレベル)で1回と、2回のC値測定が理想だと考えています。

【三幸住宅:直近の現場でのC値測定の様子】

私達三幸住宅が現場で測定している検査をもうひとつご紹介します。
それはVOC測定です。(※VOCとは、人体に有害な揮発性ガスです。)→日本VOC測定協会
VOS測定を標準測定項目に採用している理由は幾つかあります。

ひとつめは、自分達が住宅施工会社としてどんな建物をお客さまに提供しているか、まず施工側がきちんと認識すること。(VOC量も性能の一部として)
いくら機密・断熱性能のレベルを上げて健康的で快適な生活をしようと提案しても、もし建材から有害物質が基準値以上出てしまったら、なんの意味もなくなってしまうからです。

ふたつめは、シックハウス対策として「F☆☆☆☆(フォースター)」マークだけをあてにして本当に大丈夫か?ということです。
現在の住宅建材(ボンドなど接着剤も含めて)には、シックハウス対策としてF☆☆☆☆マークが印字されています。このマークはホルムアルデヒドの発散量のレベルで、☆4つのフォースターは最も放散レベルの低いもの(建材)で、建築基準法の規制を受けずに住宅建材に使用できます。
(※この基準はホルムアルデヒドが発散していないというわけではなく、発散量が基準値以下、ということです。)
このマークのないものは現在建材としては売っていないと言ってもいいでしょう。

各建築業者はこのF☆☆☆☆マークだけを基準に建物を造ります。これは当然なことで、基本的にはこの作り方で間違いないと思います。
しかし、私自身で色々と調べてみると、人体に影響をあたえている物質はアルデヒド類だけではないということが分かりました。
分かってしまったからには、自分達が造っている建物を測定しないわけにはいきません・・・。
測定してみるとF☆☆☆☆マークの建材・接着剤を使っていても、シックハウス物質が基準値以上出てしまうケースがありました。
この件からやはり、アルデヒド類・VOC測定は大切だと考えています。
※三幸住宅ではアルデヒド類(ホルムアルデヒド・アセトアルデヒド)、VOC類(トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン・パラジクロロベンゼン・テトラデカン)の、計8物質を測定しています。

みっつめは、無垢材を多く使っている会社によくあるケースで、「無垢材(自然素材)=健康住宅」というイメージの営業手法があります。
私達三幸住宅も、無垢材は一般的な施工会社より大量に使っていますし、商品の中には木の家シリーズもあります。
無垢材は私も非常に良いと思っていますし、大好きですが、無垢材と健康を=(イコール)で繋げることは間違いです。
ベニア・合板類ゼロ、外壁は土壁、接着剤は膠(にかわ)といった家以外は、少量だとしてもベニアやボンドは使っていますし、なにより無垢材自身からもVOC物質が検出されます。
このことからも、健康住宅をアピールするのであれば、VOC測定はするべきだと考えています。
(※測定により基準値以上になってしまった物質に関しては、お客さまとの話し合いの上、大学教授の指示に従って現場除去します。)


最後に、私が一番大切だと思っていることは、まず施工業者側が、自分達がどんな建物を造っているのかを認識すること、です。

平成30年 6・7月

今月は6月、7月合併号ということで、施工中のリフォーム現場(1物件)、新築現場(2物件)を紹介したいと思います。

■川越市 Mさま邸リフォーム工事
 このお客さまは昔からの知り合いなのですが、私達が新築工事をさせていただいたOBのお客さまともお友達ということで、その方のご紹介で工事をさせていただくことになりました。
 細かい部分の補修工事は色々ありますが、メインの工事はキッチンリフォームです。

 最初に現地調査させていただいた時、古い台所ということもあり収納はほとんどなく、ものが収納しきれていなく、なにより奥様が台所に立って家事をする際、夏はとても暑く、冬はとても寒い、という過酷な環境でした。特に冬はつらそうで、足下にファンヒーターが置いてありました。


 キッチンをリフォームするにあたって、「天井、壁、床そしてシステムキッチンを入れて、見た目がキレイになればよい」というだけのものでないと考えました。
 いつも新築工事では温熱環境(断熱、気密性能)を本気で考えているため、そのノウハウをリフォームに応用するのは得意です。
 そのため、キッチンリフォーム+断熱リフォーム工事としての見積を出させていただきました。

 断熱、気密性能に関しては、この現場の目標値をUA値0.6、C値1程度に設定しました。
 そして、工事完了したのがこのキッチンです。


 そして、三幸住宅のリフォームのポイントはもうひとつ・・・
 背面収納をシステムキッチンとセットで買うのを止めて、造作による造り付け家具として大工が造りました。
 大工工事として背面キッチンを造れば、システムキッチンとしてメーカーで買い揃えるよりも少しコストは上がってしまいますが、使う人、使い方をすべてお客さまに合わせることが出来ます。
 そういう意味で、今回はオーダー家具として造り付けました。


 最後に性能ですが、この家はキッチン6畳とダイニングである和室6畳が建具で仕切られている間取りで、和室側に8畳用のエアコンが付いています。
 断熱性能を確認するため、このエアコンを25℃の自動運転に設定をして、間仕切りの建具を開けて扇風機で風をキッチン側へ送ってテストしました。
 結果、外気温33℃の時、20分程度でキッチン6畳と和室6畳の温度を±1℃にすることが出来ました。

 このお客さまには今年の冬に快適さの感想を頂けるよう、お願いしています。
 この生のお客さまの声を元に、さらに家造り屋としての知識を増やしていければと考えています。

■志木市 Iさま邸新築工事(子育てをしながら共働き、家事楽な家)
 このお客さまは、現在30代前半のご夫婦、お子さま1人というご家族で、私の叔母から紹介していただき、工事をさせていただいている最中です。


 この家を造るにあたり、一番のコンセプトは「子育てをしながら、夫婦共働き」ということで、とにかく家事効率をよくして時間を節約する、ということです。


 この家のお引き渡しは8月末なので、詳細に関しては9月号で紹介させていただきたいと思います。

■東京都東大和市 Hさま邸新築工事(狭小和風住宅、町屋モデル)
 このお客さまはご夫婦とも和風住宅が希望で、ホームページから問い合わせていただきました。
 当初はハウスメーカーも含めて数社で検討されていたのですが、どうしても「コレ!」という会社に巡り会えず、私達三幸住宅が受注させていただく事になりました。


 この家のコンセプトは「町屋風の日本家屋」です。このイメージをコンパクトにどうやって再現するか?がポイントです。


 この家のお引き渡しは9月末なので、詳細に関しては10月号で紹介させていただきたいと思います。

平成30年 5月

今月は「何となく嫌な予感」というお話をしたいと思います。
私自身、自分の仕事という当然の役目として、人様の家を造っています。少しでも良いものを作ろうとする思いはいつも持っているつもりなので、住宅に関する「設計」「性能」「デザイン」「納まり」など、意識的に日々勉強するようにしています。

しかし、勉強するほどこの業界に不安を感じることもあります。

では今なにが一番不安か?というと、住宅業界では国の政策に乗って、従来の家に比べてかなりのスピードで高断熱化が進んでいます。
特にこの「高断熱化」という話の中では、外装に携わる職人さん(瓦屋さん、板金屋さん、左官屋さん、塗装屋さん)よりも、内装業の職人さんの施工がとても大切です。
その中でも大工さんと設備屋さん、最近では断熱材施工専門の業者さんです。
しかし断熱施工業者さん以外の大工さん、設備屋さん達は、住宅の性能がよくなるスピードに知識がついて行ってないのは事実です。
断熱施工業者さんでも、実際に現場で施工する職人さんは個人個人で知識の差は出てしまいます。

これはどうしても仕方のないことです。(※なぜ仕方がないのか?はまた別の機会にお話しします。)その部分を現場で管理するのが現場監督や、工務店で言えば棟梁です。
その人達が全体をチェックしながら仕上げていかなければいけません。

それがまた、なかなか出来ないのです。その理由は・・・。

私自身が住宅施工会社を経営しているので他社の現場監督さんと頻繁に会って話すわけではありませんが、私も他社さんのレベルに凄く興味があるので、そんな機会があれば積極的に話をさせていただきます。
話をさせていただくと、一般的な現場監督レベルでは、室内環境を理論的に分かっている人にいまのところ会ったことがありません・・・。

そうすると、どんな可能性があるのか・・・。

現在、国の政策(※ここではZEHを基準に話をしますが)は、外皮性能:UA値をベースにした考え方です。
ここ埼玉はほぼ5地域という区分なので、ZEH基準はUA値0.6以下です。
この基準を境に補助金をもらえるか、もらえないか、という話にもなります。このUA値というのはすべて計算上の話で、簡単に言うとその数値をクリアーする断熱材とサッシを組み合わせれば、どの住宅会社さんもZEHに対応は出来ます。
しかし、施工側が色々な理論(断熱材の選び方、機密の取り方、換気の方法、結露の理論などなど)をよく分からないまま断熱材をどんどん上げていったらどうなるのか・・・。

少し怖さがあります・・・。

最悪のケースは35年~40年前に北海道を中心に起こってしまった「ナミダダケ事件」(※1)のようなことが起きる可能性はゼロではないと思っています。
埼玉と北海道では生活環境(年間の気温の変化など)が違うので、ここまで大きな問題にならないと思っているのですが、あと5年~10年でぐらいの間で、なんらかのトラブルの要因になりかねないと思って不安になる時もあります。

そのため私達施工側は、家が高性能化するスピードと施工のレベルアップを平行してお客さまに提供できるようにしなければいけません。

私としても日々さらに勉強して悩みながら、一生懸命やっていこうと決めています。


※1 「ナミダダケ」という茸が原因で新築間もない家の床が抜ける、という現象が多発しました。
【ナミダダケ事件】

平成30年 4月

今月は2050年を見に行こう、というお話をしたいと思います。
この言葉は家造りの仕事をしている私達三幸住宅にとっての現在の合い言葉のひとつになっています。
なぜ2050年か?というと私達が生活している現在は2018年、私は43歳(もう少しで44歳・・・)
今年2018年に家を新築しようとして、住宅ローンを35年で組むとすると完済するころには2053年になります。
新築をして住宅ローンを35年間一生懸命働き払い終えた2053年に、近所で新築している建物に性能で大きく劣らない住宅をお客さまに提案しなければならないからです。

これから日本の人口減少は、いままで経験したことがないスピードでさらに進んでいきます。
そのことも引き金になり、既存住宅の空き率上昇が止まらない状況にもなっています。
私自身も現在の日本の家(住宅)に対する考え方はそろそろ大きく変えた方がいいと思います。
欧米、その他の国のように建物に手を加えながら、60年、70年、100年以上住み続けられるように考えて造らなければならないと思います。

100年先と言っても正直想像もつかないことが多すぎますが、2050年を見に行こうという話の中での35年先というのも、私のレベルで予測するのはかなり難しいことです。
この話の中で誰でも考えられるのは、過去を振り返ってみることです・・・。

現在の30代より若い人達にはよく分からない話かもしれませんが、

               (過去)          (未来)
               35年前   いまの自分   35年後
(小学校2年生)8~9歳 <========== 43歳 ==========> 78~79歳(後期高齢者)
       1983年            2018年           2053年

35年前はどんな時代だったのか?

●1983年に流行っていた歌
・「CAT'S EYE」杏里
・「時をかける少女」原田知世
・「め組のひと」ラッツ&スター
など・・・

●1983年にあったこと
・ファミコン発売
・キン肉マンが放送開始(キン消しブーム)
・東京ディズニーランド開園
・三宅島噴火
など・・・

これを見た時に皆さまはどう考えるか、だと思います。私自身は、すべてが同じように古く懐かしくは感じませんでした。

私自身、この中で一番変わったと思うことはゲームでした。この進歩、進化は圧倒的でしょう。
現在ではPS4(VR)・ニンテンドースイッチ・・・当時のファミコンからは比べものにならないほどの進化です。
このことを35年前のゲーム業界で、どれくらいの人が想像出来ていたでしょう。
時代は少しズレるかもしれませんが、携帯電話もすごいスピードで進化を続けて、いまでは電話というより小型パソコンのようになっています。

ではもう一度、住宅の話に置き換えてみます。
近年の気候の変化ということも含めて考える必要があるのですが、私が小学校2年生の時には、エアコンがない家も多くあり、扇風機が夏の暑さをしのぐ主力のものでした。
まだ断熱材も入っているかいないかという適当な時代、サッシも同じで雨風がしのげればよいという程度です。
友達の家はまだ木製建具の家もありました。
それから思うと、2018年現在のZEH基準以上の住宅の性能も、当時と比べるとかなりの進化だと思います。

1970年代、80年代の既存住宅を現在のZEH基準の性能に合わせたリフォームをしようとすると、凄くコストが掛かります。
築35年~40年として、性能リフォーム・耐震リフォーム + 屋根・外壁・水廻りのリフォーム工事も対象として考えると、そのコストは新築の予算とさほど変わらなくなってしまうような例も少なくありません。
こうなると、日本の住宅の建て替え、もしくは住み替えのサイクルは40年前後になってしまいます。

しかし、今私達が生きている時間は2018年・・・
最新の性能を装備しておけば35年後に住まい手(そこに住む家族)が変わっても、少し手を掛ければ少なくとももう1世代住めるような家が出来るのではないかな・・・と私は考えています。
これから住宅の新築を考えているお客さまには、こういった説明も大切なのではないかと思っています。

平成30年 3月

今月は本当によい家造り、ってどんな家造りだろう?(その二)というお話しです。

先月は、家造りを進める際の施工会社(造り手)とお客さまとの関係についてお話ししました。
今月は、家造りをする際に一番大切な、性能についてお話ししたいと思います。

※住宅性能については、少し数値の話をしなければならないのですが、お客さまにとっては「そんなはなしをされても分からない・・・」と思う方が大半でしょう。
なので、深く考えなくても大丈夫です。この話を深く話す時は、私は個別に分かり易く説明をしています。

国が示している住宅の断熱性能の指標は、2020年に外皮平均熱貫流率(UA値)0.87以下、2030年に0.6以下となっています。
外皮平均熱貫流率(UA値)というのは簡単に説明すると、「室内の温度が屋根面(天井面)、壁面(サッシ)、床面(基礎面)を通してどれだけ屋外に逃げるか」
また、「屋外の温度が屋根面(天井面)、壁面(サッシ)、床面(基礎面)を通してどれだけ室内に入るか」を表す数値です。

このUA値が小さければ小さいほど、断熱性能が高いということになります。
このUA値はZEH(ゼッチ、ゼロ・エネルギー・ハウス)の基準になっていて、これは日本各地の地域毎に区分されています。
ここ埼玉はほぼ「5」地域といわれる区分で、それぞれのUA値は下記の通りです。

・ZEH標準 → 0.6以下
・HEAT20のG1グレード → 0.48以下
・HEAT20のG2グレード → 0.34以下

※補足として、平成30年2月9日に公表されたZEH+の基準は0.4以下です。

これらの基準のさらに上の基準として、LCCM住宅というものもあります。
なお、いま説明している数値は、あくまでも設計基準といえます。設計基準というのは、図面上での計算、ということです。

基本的に施工会社がお客さまにこれから建てようとする時には、計算上のこの数値を提示して話をするでしょう。
お客さまもこの数値の説明を受けて、「自分の家はZEH基準をクリアしているので、性能の高い住宅なんだろう・・・。」と思うでしょう。

※ZEH基準にはUA値以外にもクリアしなければならない基準の数値があります。しかし、いまはまだ個人工務店レベル、個人設計士さんレベルではこの計算すら分かっていないプロ達もかなり多いのが現状です。
なので、お客さまにとってはかなり分かりづらい・・・。

設計提案段階では、この流れで大丈夫だと思います。
しかし、より大切なのがここからです。このUA値の計算数値を現場で100%出せるか、が一番重要です。ここは施工する人間(職人さん)によってかなりの差が出ます。
特にグラスウール、ロックウール系の(ガラス繊維系)断熱材を使う場合は要注意です。
なぜなら、この系統の断熱材は一般的に大工が施工するので、その大工さんによって施工精度にかなりのバラつきが出てしまいます。

ハウスメーカーといわれる会社、地域ビルダー、分譲住宅、個人工務店などの施工会社の木工事に私の大工仲間達が数多く携わっているのですが、その仲間達に分かる範囲で施工内容や現場監督の知識力を聞いても、100%の施工が出来ている会社はなかなかないようです。
では断熱専門の業者が施工するような、セルロースファイバーや現場発泡ウレタンなら100%完璧な施工が出来ているのかというと、それもまた疑問点がある場合があります。

そして、ここがお客さまの死角となる部分です。
お客さまとしては、現場での施工方法まですべて見ていることは不可能です。まして工事工程の中で仕上げ材によってどんどん隠れていってしまう部分なので、施工する人(会社)を信用するしかないのです。
仮にお客さまが毎日朝から晩まで、施工している様子を自分の目で見られたとしても、施工の不良部分を指摘するには専門知識が必要です。

日本の住宅性能は世界基準と比べるとレベルが低かったのですが、だからこそ今急速に性能重視に変わってきています。
これから家を新築して、その家に住む人達(ご家族)の思いとしても、少しでも快適な家に暮らしていきたいというのは万人の願いだと思っています。
だからこそ、これから家を建てようとする皆さまは、カタログの数値や計算上の数値だけで性能を判断するのではなく、その施工に携わる会社の営業さんの知識量、現場監督の知識量、施工する大工さんの知識量のバランスがとれている会社に施工してもらうことがすごく大切だと思います。

ここからさらに詳しいお話しは、また次の機会にさせていただきます。今月もご覧いただきありがとうございました。

平成30年 2月

今月は本当によい家造り、ってどんな家造りだろう?(その一)というお話しをさせていただきます。

私の家造りに対する「良い物を造りたい」という思いは、誰にも負けないという自信があります。
良い物を造るにはとにかく私達(施工会社)とお客さまとで納得がいくまで時間を割いて「トコトン話し合う」という方法で家造りをさせていただいています。
そのため、三幸住宅に家を頼んでもらえるお客さまとの打ち合わせ時間は他社さんの倍以上になります。

そこで、いつもお客さまとの打ち合わせをする際に考えていることは、「お客さまにとって良い家造りとはどんな家造りなんだろう?」ということです。
これはきっと私がこの仕事を完全に辞めるまで、考えても答えは出ないものだろうと思います。
特に私達のようにこだわり住宅を造っている会社としては、施工会社とお客さまという関係になってはいけないということは分かっています。
私達施工会社の役割は、いま、目の前のお客さまが求めている家を「カタチ」にしていくお手伝い、そのパートナーという立ち位置でいなければなりません。

家造りをしようとしているお客さまと私達が向き合った時、これから良い家を造っていくために色々な打ち合わせをさせていただきます。
家の打ち合わせには大きく「目に見える物の打ち合わせ」と「目に見えない(見えづらい)物の打ち合わせ」があります。

■「目に見える物の打ち合わせ」
これは、いまから建てようとする家に住む準備のお話になります。

・お客さまのイメージの中にある、外観、デザイン
・お客さまのイメージの中にある、間取り、大きさ
・お客さまのイメージの中にある、大まかな予算

などです。

■「目に見えない(見えづらい)物の打ち合わせ」
これは、いまから建てようとする家に住んでからのお話になります。

・その土地の日陰、風向き
・耐震、断熱といった計算して出すような性能
・いままでの施工例を踏まえたエアコン室外機、エコキュートのヒートポンプなどの設置場所(近隣対策)

などです。

家造りはお客さまのイメージ「目に見える物」を、施工会社のアドバイス「目に見えない(見えづらい)物」によってより良い家、住みやすい家にすることが、本当に大切です。
たしかに、これから建てようとする家に、長期のローンを抱えて、一生住むのはお客さまです。だからといってお客さまの希望が最優先になってしまっては絶対にいけません。
お客さまと施工会社の関係性は、どちらが上でも下でもなく、常に対等で、施工会社はお客様の家が100%理想に近づくようサポートをしっかりしなければいけません。
そしてお引き渡し後、お客さまの生活が始まってからは、その家を管理という形でしっかりサポートしていく、という関係性を続けていくことが、本当の良い家造りだと思っています。

時には、お客さまのご希望より間取りが少し小さくなってしまっても、性能上その方がお客さまのためなら、一生懸命その部分の説明をして、提案させていただきます。
そのすべては、お客さまがその家に住んでから「本当に良い家が建てられた」という声をいただくための私達の仕事だからです。

お引き渡し後の家の状況、環境などの「目に見えない(見えづらい)物」を、できるだけ分かり易く提案するのが私達施工会社の、一番の仕事だと思います。

平成30年1月

今月は人財についてお話しさせていただきます。

現在(物流・運送業)(飲食業)(販売・小売業)(介護職)その他すべての業種で人財不足が急速に進んでいます。
その人材不足がこの数年特に進んで、社会の経営自体も危うくなってしまっていることを、ニュースを含めて私も肌で感じています。

それは私達、建設・建築業でも同じです。
大きな現場へ手伝いに行くと、60歳以上の職人が半数以上を占め、あと10年経つとどうなってしまうのか?という不安に駆られます。

辛うじて私達三幸住宅としては、川越の工務店という括りの中では平均年齢40代と、業界の中では若い会社です。
しかし人間は1日、1ヶ月、1年と確実に歳をとります。
会社の長である私としては、いままで先代から30年以上家づくりの商売をさせていただいたOB客さまの管理責任もあるので、未来永劫この会社を存続させる努力を日々し続けなければならないと考えています。

そんな中、私達が恵まれている部分もあります。ひとつは毎年工業高校からインターンシップ(職業体験)の受け入れを通して未来の業界の宝である高校生にこの仕事の楽しさ、大変さを話したりする時間があります。

もうひとつは和風住宅専門店という中で、昨年、一昨年と4〜5件ホームページを見たのですが自分も和風住宅をやってみたいという方々から連絡をいただきました。
その方々は「卒業が決まっている学生」「現在はサラリーマンをしている人」「現在大工としてハウスメーカーを手掛けている人」「元宮大工で修行をしていた人」と色々です。

とてもありがたいことですが、大工職人1人を三幸住宅の棟梁クラスまで育てるというのはとても大変です。私としても弟子に入ってきてくれた全員に棟梁まで育ってもらいたいという思いで、本気で向き合っています。そのため同時に2人、3人という人財を採用したり出来ない事もあり、タイミングが合わず私達の仲間に入っていただく事が出来ないことも多くあります。
採用できたとしても半年、1年で本人は努力もせず逃げていってしまう人間もいます。

家づくりは縁のものです。人も縁のものと思っていますので、私達のメンバーから抜けていってしまうということは、私自身とても寂しい気持ちになりますが、それも縁がなかったと思うようにしています。

現在三幸住宅は私も含めて4人の常勤棟梁と、2人の非常勤棟梁の6人がいます。一番若い棟梁は32歳で、みんな生き生きと毎日闘ってくれています。

社長である私は、仕事というのは何の仕事でも、自分が生かされている業界で「こういう事がしてみたい」「こう生きていきたい」と強く思って日々自分自身と闘っていくもの、その気持ちがすごく大事だと思っています。
そして家づくりに対しては「造り手も楽しく」という事を目標として日々努力をしています。

そんな小さな会社ですが、日本家屋・和風住宅に関しては埼玉一番店を目指しています。
中途半端な思いの人間と向き合うのは時間の無駄なので、本気で闘ってくれる人(人財)を私達会社としても、これからも大切に一人一人育てていこうと思っていますし、ぜひ仲間に入ってきてもらいたいとも思っています。

最後に日本一の宮大工と言われた西岡常一(西岡家)の教えを、私なりの理解で紹介します。
「木組みは木の癖組」「木の癖組は職人達の心組み」「職人達の心組みは棟梁の職人達への思いやり」
こういう思いを忘れない人間が、良質な家を造れる棟梁だと思います。
営業エリア:川越市・ふじみ野市・狭山市・鶴ヶ島市・坂戸市・川島町・上尾市・さいたま市・富士見市・志木市・朝霞市・和光市・東松山市・三芳町など埼玉県全域
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