社長が現場で日々思うこと

令和3年 9月

今回は、この住宅業界でささやかれている「4大ショック」についてお話ししたいと思います。

ショック 1 コロナショック

コロナウイルスによるダメージは何も建築業界だけではなく、全ての人々、
全ての仕事、全ての生活 そのものに影響している事は誰もが痛感していることだと思います。

3密に代表されるウイルス感染予防対策を強いられ、
住宅購入を考えている方(買い手側)
住宅営業をされている側(売り手側)
両者とも思ったような動きが出来ないというのが、この1年だったと思います。

業者側においては、大手ハウスメーカーの住宅展示場でクラスターが発生してしまうという事も現実に起きてしまいました。

しかし、こんな困難な時だからこそ、必要に迫られ、進化・発展をしたこともあります。

それはオンラインでの家づくり勉強会や見学会、ZOOMなどを用いた
打ち合わせなどです。

これは時間に余裕のない現代の家族にとってはかなり有効で、もしコロナが
収まっても基本になるのではないか? と思います。

とは言っても、やはりリアルとリモートでは、お互いの想いの伝わりは確実に変わります。(私個人として実感済み)

この2つの時間の使い方を効率よく分けながら進めていくのが、これからの家づくりになると思います。

ショック 2 ウッドショック

ウッドショックも元はと言えば、コロナが引き金の一つになっている事は間違いないでしょう・・・

これは世界規模の話ですが、世界規模であるが故に厄介です。
世界規模での人流抑制(ロックダウンなど)で経済が止まり、それに伴い巣ごもり需要の拡大と、アメリカ、中国の好景気で住宅にお金を掛ける割合が拡大・・・
そこに拍車をかけたのが輸送時のコンテナ不足

こうして、いくつもの複合した要因が、このウッドショックを世界規模で起こしています。(特に先進国で)

ドイツなどでは、国内木材需給率100%と言われているにも関わらず、高値で買ってくれる海外へ輸出してしまい、ウッドショック状態に陥っている始末です・・・

日本も国土の3分の2(67%程度)が森林なのにも関わらず、この数十年安い外材を中心に使い続け、その挙句家(建物の寿命)は30年~40年で解体処分されてしまう・・・

需要を失った日本の林業は衰退し続けました・・・

人間なんて、自分の都合、損得で動く生き物なので、今回のようなウッドショックの際には、輸入材が無理なら 国産材を・・・
的な事を言う方々が、ちらほらいらっしゃいますが、日本の林業を自分たちの手でめちゃくちゃにしておいて、「木がないから、出せ」と言っても それは無理・・・

そもそも極度の人材不足な業種なので、本気でもう一度日本の林業を復活させようとしても、人材育成を考えるとここから10年~15年は最低でもかかるでしょう・・・

どちらにしても、木材調達を海外頼みにしている 脆弱な日本の家づくりのシステムでは、このウッドショックが収まっても 第2、第3のウッドショックは必ず来るでしょう・・・

ショック 3 YouTubeショック

コロナ禍で子供たちの学校は休校・時短、運動会などのイベントは中止
大人たちの仕事はテレワーク中心、会議はリモート

家族旅行にも行けず、奥様たちの買い物も混雑する時間を出来るだけ避け、気を使いながら生活する事が多くなった この1年半ぐらい・・・

そんな中、家づくりを検討している人達の情報収集の場もかなりの変化が生まれました。

それが、建築系・住宅系「 YouTube 」です。

建築のみならず、今や子供たちもTVよりYouTubeの方をよく見る・・・
といった世の中なので、ホームページの活字を読んで情報を得るより、
YouTubeの動画を視聴(目と耳で)した方が、より多く、わかりやすく情報を
得ることが出来るからです。

でも これは、メリットばかりではありません・・・
私達プロが(←かなりの知識と現場経験のある実務者に限る)これを視聴すれば、

見る動画によって、

「これは ほぼウソ・・・」

「これは 視聴している人たちを意図的に誘導しているな・・・」

など、その動画自体を見分ける事が出来ますが、
一般の方(素人のお客様)は色々な動画を素直に見てしまうでしょう・・・

そうすると、ひと昔前の住宅展示場で、色々な会社に行きすぎてしまって、
結局 何がいいのかわからない・・・という状態になる可能性が高くなります。

事実、私達 三幸住宅に興味を持って頂けたお客様の中にも、
「YouTubeで 誰々がこう言っていますけど、どうなのでしょうか?」
とか

「YouTubeでは、今 新井さんが言っている事の反対(逆)の事を言っているのですが・・・」

など、そのYouTubeを見て、印象に残っている一部分を切り取って、質問をされる方が増えてきました。

YouTubeは、ひどいものになると、私が視聴していても、
「この人は ほぼ詐欺レベル・・・」
という人達も混ざっているので、ご注意を・・・

「この方々のYouTubeはかなり参考になります。」といった話を
このブログ「令和3年 1月号」でしています。
興味のある方は、是非 ご覧下さい。

ショック 4 脱炭素ショック


世界的には、我が国 日本よりもかなり早いスピードで 脱炭素(CO²排出ゼロ)の
取り組みは進んでいます。

例えば、Appleは2030年までに再生可能エネルギーを100%使用していない
企業とは取り引きしないというカタチで・・・

これは気候変動による温暖化を食い止め、未来の子供たち(人類)に残せる地球に
する事が第一条件ですが、日本としても ビジネス・経済面で、世界から取り残されるわけにはいきません・・・

ここに取り残されれば、世界的な国力の競争にも負けてしまい、何の発言権もなくなってしまうからです。

日本社会における産業(車を中心に)もCO²削減に関しては、急務で取り組みが始まっていますが、私たちの業界(建築・住宅業界)もその一端を担っています。

そこで、住宅業界も 菅内閣の中で3省(国交省、経済省、環境省)が脱炭素に向けて、細かく訂正を繰り返し ロードマップを公表しています。

今から住宅購入を考えている方
例えば、来年 住宅を35年ローンで取得したとします。
2022年 +(ローン)35年 = 2057年・・・

まだ住宅ローンが残っている状態で 2050年CO²排出ゼロになる時代を迎えてしまいます。

新築購入を考えている方々は、これも踏まえて 今からの家づくりの参考にしなければ、後々 後悔をしてしまう可能性があります・・・

これからの事は、頭ではわかっていても、結局 目先のイニシャルコストに目を向けてしまいがちですが、この先 日本でも
「石油」「電気料金」の更なる値上げが予想され、その先にはカーボンプライシング(CO²の排出量ごとに税金を課していく)のような事が起こる可能性は十分にあります。

家を建てる時 本当に50年、60年、70年とその家を守る気持ちがあるなら、
是非 この辺りの事も相談に乗ってくれる 施工会社さんを見つける努力を惜しまないでください。

今 現在は、ホームページやYouTubeも数多くあり、10年前と比べても、情報収集はしやすい時代になりました。
ウェブ情報をもとに、あとは自分の足で少し時間を使って、色々見聞きして
これからの良い家をお造り頂きたいと思います。

結果、それが30年くらい住み続けた時に(イニシャルコストとランニングコストの合計金額)が必ずお得になるはずです。→ そこから数十年 その家を解体するまで、
お得が続いていきますので、ここを一番に考えないという家づくり提案はないのです。

という事で 今回はこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
最後に 前文に話をした3省における ロードマップを紹介しておきます。


令和3年 8月

今回は「これからの住宅業界の在り方」についてお話ししたいと思います。

世の中には、色々な仕事(商売)がありますが、その全ての基本的な考えの一つに、「三方よし」というものがあるのは誰もが知っていると思います。

「売り手よし」
「買い手よし」
「世間よし」

この表現は、近江商人も経営理念を表現するために後世に作られたものとされていますが、
ただ物を売り、収入(お金)を得るためだけに仕事をしていると、いつかその仕事は衰退していく・・・
それは、相手を見ずに、自分だけを見てお金を稼ごうとするからだと私は理解しています。

「相手を見ない」という事は、世の中の要望(ニーズ)や時流の変化に気づけず、
今現在は売れるものが、5年、10年先には誰も欲しいと思わない・・・

それが住宅という商品として考えたとすれば、どうでしょう・・・

住宅購入は基本的に、人生で最大の買い物・・・
生命保険まで加入して、お客様がお買い求めになる商品で、文字通り 命懸け・・・

そんな商品でありながら、施工業者のレベルの差は、天と地ほどの差があるのも実情です。

その中でも、注文住宅というのは特殊で、お客様の色々な想いが詰まった商品ですので、30年、50年、70年 先まで、見据えた提案が必要です。
口先だけで説明をして、売るような事は絶対にあってはいけないのですが、現在も、デザインやコストをメインとして住宅を販売する会社はかなりの数が存在しているのも事実です。

お客様がこれからの家づくりはどうあるべきか、全てを解った上で、その住宅を選んでいるなら、仕方がないと思いますが、大半は知らないまま、プランニング、見積り、契約、上棟、引き渡しが終了してしまいます。

例えば、

◎ 屋根が南側から北側に流れる片流れデザイン
◎ 箱型(キューブ)デザイン

・イニシャルコストを抑えたり、若者向けのパッと見おしゃれなデザインには見えるが・・・
・南側に、日差し遮蔽するもの物がないのがほとんど・・・
(夏のオーバーヒートが予想される)
・これからの国の方向性(CO²削減など)という流れでいくと、
この家には二度と太陽光パネルは載せられません・・・
電気料金の更なる高騰が予想されるのに、創エネが出来ない・・・

こんな家に代表される要注意な家(住んだら快適さに欠け、エネルギーコストが掛かる家)は今でも沢山あります。もったいない・・・
お客様が最初からそれを知っていたなら、もっと違った家を希望していた可能性は大いにあると思います。

『施工業者が、単純に家に対する勉強をしていない・・・』

という事もありますが、売り手側(自分の方だけを見て商売をする人)はコストの安い方が売りやすいので、相手が(買い手のお客様)がどんな生活をしていたのか?
というよりも、今売るのが楽な方・・・ といった基準で住宅を販売する会社も確実にいます。

これこそ「知りながら 害をなすな」( 2500年前のギリシャの名医 ヒポクラテスの誓い )
の考えを持ち仕事(商売)に向き合えない住宅会社の典型です。

■コスト面では

注文住宅を建てて、30年、50年、70年・・・と出来る限り省エネで生活できて、メンテナンスコストも出来る限り掛からず、想定される災害にも対応できるような家を造る事が出来れば、必ず、住み続けている途中で、イニシャルコストは回収できます。

■デザイン面では

家に対するあらゆる性能面(断熱性、耐震性、機能性など)を装備したとしても、かっこいいデザインは出来ます。

それは施工会社の技量によりますが、住宅業界全体が、相手(お客様・買い手)を考えた仕事(商売)をし、発展していく業界になればよいと思います。
そのために、微力ながらいろいろな活動をしていきたいと思っています。

最後に、私も共感する この業界がこれから目指すべき業界理念

『五方よし』の考え方(新建新聞社 代表取締役社長 三浦祐成 様の話から)
を紹介して終わりにしたいと思います。

「売り手よし」
「買い手よし」
「世間よし」
「地球よし」
「未来よし」

『五方よし』

最後まで目を通して頂きありがとうございました。

令和3年 7月

今月は、現場でのインターンシップの内容を岡元が書かせてもらいます。

学生達も夏休みに入り、工業高校の生徒がインターンシップに来てくれました。
例年1~2人ほどやって来るのですが、今年は女性1名です。(ちなみに三幸住宅の松田も3年前にインターンに来ています)3日間現場に出て貰い、普段の大工さんの現場仕事が少しでも分かり、将来に活かせればと思います。

1日目

■松田と一緒に石膏ボード張り
■材料搬入
コツが分からず、ボードも一人で持てないので先輩の松田が手を貸して運んでいます。

2日目

■継手造り、目違ほぞ腰掛け蟻継ぎ
先輩のサポートを受けながら、鑿と玄翁を使い基本中の基本の継手造りです。
現在の日本の建築現場では、プレカット材を使った施工が主流になっていますが、大工の手仕事が無くなったわけではありません。その手仕事を少しでも分かってくれればと思います。

3日目

■鉋掛け
今まで、鑿も鉋も使った事が無かったので、大澤さんが優しく教えています。

自分がこの年齢の頃は、将来の事など全く考えず、今になってあの時こうすれば良かった。あっちに行けば良かったなど色々思う所はありますが、後悔しても前に進めません。
学生さん達は、今出来る事を一生懸命取り組み、色んな経験・体験をして前に一歩ずつ進んでいって貰いたいです。

令和3年 6月

今回はこの春無事にお引き渡しをさせていただいた「江戸町屋の家」のご紹介します。

【住宅スペック】

UA値 0.4 W/m2K
Q値 1.39 W/m2K
C値 0.16 cm2/m2(中間測定時)
  0.32 cm2/m2(竣工時)
ηAH 2.0
ηAC 1.2

■出会い

このお客さまとの出会いはある方からのご紹介でした。
その方が言うには「木の家で和室に広縁があるような家を造りたいが、なかなか希望すべてを叶えてくれる業者がいないと言っている人がいるのだけれど、少し相談に乗ってあげてくれないか。」とのことでした。
こういった要望は私達三幸住宅の得意としているところなので、二つ返事でその方にお話を伺うことになりました。

■施工業者確定までの経緯

初めてお目に掛かったのが2018年秋のことだったと思います。
事前にある程度のご要望を伺っていたので、まずはイメージの共有(私にとっても、お客さまの頭の中のイメージを把握することが大切なので)をするために、三幸住宅が施工した「木の家」や「和風住宅」のOBさまの家を一緒に見学することになりました。

その後、あらためてよくお話しを伺ってみると……
・このお客さまは川越が好きで、十数年前にここ川越に引っ越してきたこと
・川越が好きということもあって、川越の街並みに溶け込むような家にしたいこと
・その中でも町屋風の家がよいこと
・いま現在の温暖化による異常気象に対応出来る家で、自分自身もこれからは少ないエネルギーで暮らしていきたいこと
・若い頃は登山もしていたそうで、昔自分の目で見たヨーロッパの氷河と、おなじ場所の現在の氷河が大きく変わってしまっていること
・古民家にも興味があり、ご自身でも茅葺き屋根の葺き替えなども手伝っていること
・竹細工が趣味なこと
・自転車(ロードバイク)が趣味なこと
などなど、色々な家への想いと、これからどの様に生活していきたいか?という話が数多く出てきて、私(造り手)の率直な感想は「これは難易度が高めだな……」というものでした。

それからは、私が主催している家づくり教室「家楽くらぶ」や、施工現場の構造見学会、完成見学会も、たびたび足を運んでいただくようになり、仮プランなどを提案しながら、三幸住宅の家造りがどういうものなのか、という話をさせていただきました。
初めてお目に掛かってから、1年くらい経った頃でしょうか……。
「いろいろ検討した結果、三幸さんにお願いしようと思います。」 との電話をいただき、こうしてまた1組のお客さまとタッグを組んで良いものを造るプロジェクトが動き始めました。

■設計コンセプト

だんな様と息子さんの二人住まいという条件で基本性能を高性能化し、家の中で竹細工のアトリエも含める。
そこに和室と広縁を設けてワンルーム設計にしつつ、温湿度環境も整える。
これからの生活をできるだけイメージし、本当に欲しいもの(必要なもの)、用が足りれば良いものをハッキリさせ、コストダウンに繋げる。
外観は江戸町屋を再現したデザインにしつつ、温熱環境にも配慮した窓配置、動線や機能面も十分に考慮しデザインに溶け込ませる。
その中で耐震等級3と制震性能も装備する……。
ということを最低条件として実施設計を開始しました。

それでは最初の入口、木格子戸を開けて中に入ってみましょう……
格子戸を入ると、半外の土間スペースへの玄関へのアプローチ。
ここは竹細工の作業スペース兼用となり、左側突き当たりには手造りした作品を入れる間接照明付きショーケースがあります。
逆側(右側突き当たり)には、多用途に使える収納があります。
格子戸の横(左側の壁)には木製(現場施工)のポストと宅配BOXをこの家全体のイメージを損なわないように配置し、
玄関の外照明も手造りしました。(イメージは隠れ家的高級割烹の入口)
玄関を入ると、約7畳の土間スペース……
ここが竹細工の作業スペース(アトリエ)となります。
土間とリビングを一体化し、住宅でそこまで広さがとれないスペースをできるだけ広く見せるようにし、室内の床高さと土間の仕上がり高さの差をあえて370mm程度に設定し、和室の畳が竹細工作業中の腰掛けになるようにしています。
室内側、この家一番のこだわり……リビングです。
コンセプトは囲炉裏のある和室リビング。
夜になると外からも格子越しにチラチラ見ることが出来て、「この家は何なんだろう?」と思わせる雰囲気をもたせるようにしました。
火棚、自在鉤、テーブルも含めて、現場でお客さまとお互い納得がいくまで話をしました。
本物の囲炉裏とはいきませんが、できるだけ本物感を出すために試行錯誤して造りました。
特に自在鉤に照明を融合させたデザインは本当に苦労しました。
※ちなみに、この自在鉤はお客さま作……本当に上下スライドできる自在鉤となっています。(素材:竹、ケヤキ、シュロ縄)
アングルを変えて……
広縁も含めて、1階の造作材は基本的にすべて桧です。
キッチンとトイレ……
特にキッチンに関しては、この家の基本的な考え方の象徴で、「煮炊きができればよい」ということでできるだけシンプルにしました。
三幸住宅の空調(エアコン)の基本的なセット位置は脱衣をメインに考えます。
このようにできないプランニングもありますが、夏冬共に住環境を有利にして、デザイン的にもエアコンの姿をできるだけ消すことができます。
浴室(脱衣)を使っていて、入口の建具が閉まった状態でもエアコンが機能するように、欄間などの開口スペース(オープンな部分)をより多く設定します。
階段を上がって2階に来ました。
木格子から朝日が入り、格子の影が浮かびます……。これもまた、雰囲気のあるものです。

ということで、今回の「江戸町屋の家」は以上になりますが、最後に照明に火が灯ったときの雰囲気を紹介して終わりたいと思います。
ありがとうございました。

令和3年 5月

今月は、換気システムが正しく作動しているか確認する為に、CO2濃度を測定してまとめましたので、その発表の場として、社長に変わりまして大澤が書かせて頂きます。

CO2濃度測定により、換気システムが正しく作動しているかを調べる

■目的

24時間換気の目的は、室内の汚染空気を排出し、外の新鮮な空気を取り込むことです。
汚染空気として外に出したいものは、VOCをはじめとしたシックハウス症候群の原因となる化学物質。これは建材だけではなく、家具や化粧品、洋服などからも出る事があります。人の呼気などで排出されるCO2。トイレやキッチンの臭い。洗面所(風呂)、台所の過度な湿気。などがあげられます。

・その汚染空気がちゃんと排出され、24時間換気がちゃんと機能しているのか調べる。
・換気システムのフィルターが汚れていても、汚染空気がちゃんと排出されているか調べる。

■実験した家の情報

・第1種換気。全熱交換器付き。給気・排気のフィルターは2カ月に一度掃除をしなければいけない。
・UA値0.28W/㎡・K、Q値0.98 W/㎡・K、C値(完成時)0.26㎠/㎡
・父、母、子(1歳)の3人暮らし。母は育児休暇中で4月より復職。子供も4月より保育園。
・1階リビング、2階寝室で、ほぼ総2階の約32坪です。体積はおよそ324㎥。
・天井に給気口、排気口を設置。1、2階共トイレの排気は腰の高さにしています。
・生活パターンは、平日は父5時半~6時に1階リビングに行き、出社。20~22時帰宅。0時就寝。
 母・子は5時半~7時リビングに行く。そして朝食。昼前に外出。19時頃帰宅。子21時就寝。母0時就寝。

■実験方法

・今回の実験では、CO2濃度を測定する事で、汚染空気がちゃんと排出されているかの指標とします。
・換気が充分かという基準として、ビル衛生管理法の1000ppmとしました。
・1階リビングに佐藤商事の「データロガーCO2 濃度計MCH-383SDJ」を置きました。
 1分ごとに温度(℃)、湿度(%)、CO2濃度(ppm)を測定してくれます。
・エアコンの直接当たらない場所。FL+800㎜の棚の上に置きました。
・2020年10月18日18:11開始 2021年4月22日0:25終了
・1000ppm以上か、それより小さいかを月ごとにまとめ、件数・割合をだす。
 これにより、換気が出来ているかどうかが分かる。
・さらに、健康被害が出る可能性のある濃度として2500ppm、問題の無い濃度として800ppmの基準も加え、さらに細かく分けて件数・割合をだす。
・時間ごとのCO2濃度の変化を知る為、月ごとに祝日のない1週間を抜粋し、グラフにした。
 そこに1000ppmのライン6時、11時半、19時のラインも加えた。
・換気システムのフィルター掃除の効果を知る為、掃除日を抜いた前後1週間でデータをまとめ、比較した。
 また、その期間の夜中の2~5時でも比較した。日中は、人の人数・活動内容でCO2濃度は大きく変わるので、その変化の少ない夜中の時間を選んだ。
・19日9時頃から20日夕方18時頃まで不在だったため、CO2濃度は低い。
 しかし、480ppm前後で変動があるのは24時間換気で外の空気が入ってきている影響だからなのか?
 →人がいなくてこの程度の変動があるので、今回の実験では、この程度の変動は誤差の範囲と考えます。
・21日(水)は父午後1時過ぎ帰宅。大人2人、子供1人リビングに集まると1000ppm超えてしまった。
・25日(日)は父仕事の為いないので、平日とあまり変わらない。
・24日(土)15時から上がったのは不明。
・午前中の母と子の活動でCO2濃度は増えるが、1000ppmは越えない。
 しかし、22日(日)は父もいるので(大人2人子供1人)、CO2濃度は高くなっている。
・この週はリビングで活動している時間は800~1000ppm程度、夜などリビングにいない時は700ppm以下になっている。
・20日(日)は父もいるので1000ppm超える時間があった。
 14時頃外出し、17時ごろ帰宅したのだろう、その期間CO2濃度が下がっている。
・24日(日)は父仕事の為、ほぼ同じグラフになっている。
 母1人、子1人なら1000ppm超えていない。
・17日(水)は来客があり、大人2人、子供2人となった。なので、14時頃をピークに上がっている。
・21日(日)は父もいるのでやはりCO2濃度が上がっているが、17日よりの方が少ない・・・。
 人数だけではなく、体格や活動内容によってもCO2排出量は個人差があるのだろう。
・14日(日)は父もいたはずだが、午後は外出したのか平日とあまり変わらない。
・保育園が始まり、育児休暇から復職。活動時間の変化があり、特に朝の時間がずれた。
 しかし、人数や活動内容の変化はないので、CO2濃度の濃さは変わらず、時間帯がずれただけだ。
・18日(日)父いないので、平日とあまり変わらない変化で1000ppmを超えていない。
・15日(木)は9時過ぎに窓開けたのか800から500まで急激に下がっている。
 →窓開け換気は、風向き・強さ、窓を開ける大きさ・向きなどで変わりますが、効果があるのがよくわかりました。
・年末年始の連続して家族がいる時間が多い期間でも、1000ppmを超える事はわずかだった。
・人の動きによっての変化は多少あるものの、上にあげた表でも、このグラフでも、掃除の前後で大きな違いは見られない。
・12月6日はお爺さん、お婆さん呼んで子供の誕生日祝いをしたので、大人4人子供1人で食事をすると、1600ppm近くまで上がる事が分かった。

■考察 その1

・フィルター掃除の前後1週間の比較では、人の活動の影響が大きい日中でも、大きい差はなかった。12月6日に人が集まったのでそれは除いて。
・人の活動の影響の少ない2~5時でも、CO2濃度が多くなる場合も少なくなる場合もあり、変化も5%程度で少ない為、2カ月間ではフィルターの目詰まりはひどくならないのが読み取れる。
・掃除前後だけでなく、11月29日前後と2月24日前後を比べても大きな差はない。「フィルター掃除だけでは汚れが落とせず、徐々に蓄積していっている。」という状況でないのが読み取れる。
※しかし、これはCO2濃度の変化であり、風量が変わったかは分からないので、「2カ月ではフィルターは目詰まりに影響がない」とは言い切れない。これは2022年の1月頃のフィルター交換の時に(この換気装置のフィルターは、2カ月に1回掃除、2年で交換です)、風速計を用いて測ってみたいと考えています。

■考察 その2

・0時に2階の寝室に行くので、1階リビングに人のいない0~6時を見て頂きたい。
 0時で800~900ppmあると6時頃まで下がり続け600ppm程度になる。(6時間で300ppm)
10、11、12月の様に0時で700~800ppmとそこまで高くないと3、4時まではスムーズに600ppmくらいまで下がる。そこから、ほぼ横に動くようになる(変化が少なくなる)。(4時間で200ppm)
・人がいない10月19日の10時の640ppm位から、500ppm程度で変化が少なくなるまで4時間くらいかかっている。
 →24時間換気は、2時間に1回部屋の空気を入れ替える換気量になっている。しかし、上記の、2時間でCO2の変化が止まらない事から、2時間に1回完全に入れ替えているわけではないのが分かる。
排気の空気は、室内の空気だけではなく、取り込んだ新鮮な外の空気と多少混ざりながら出て行っているようだ。

※1000PPMを超えるのは全体の1%であり、人が集まっている短時間だけだった。また、1000PPMよりも大幅に超える事はないため、「大人2人子供1人の家族ならこの換気システムは充分機能している」と言っていいだろう。

■考察 その3

・フィルター掃除後のグラフの12月6日では、大人4人子供1人の環境になると1600ppm位まで上がっている。
16時頃からすぐ下がっているので、一時的であれば大きな問題はないと思います。
換気量=換気システムの風量は家(部屋)の体積で決まっています。家族構成や住まい方などは考慮されていない事が多いです。なので、多い人数が同じ場所に集まる事が多い。集まる時間が長い場合は考慮すべきかもしれません。
その方法としては、
①人が集まっている時は少し窓を開ける。(30分ごとに5分開ける程度でもよい)
②キッチンの換気扇など、24時間換気以外の換気も併用する。
③その部屋の換気装置の換気量を増やす。
④CO2濃度計と連携して、設定値以上になったら通常運転から強運転に変わるものを創る。
などが考えられます。

令和3年 4月

今回は、大澤が自宅で調べた「浴室を乾燥させるのに有効な手段」をテーマに実験したものをまとめましたので、それをこの場を借りて発表させて頂こうと思います。

■実験の目的

・浴室を早く乾燥させるために有効な手段を調べる。
・浴室の湿気が室内へどのくらい影響があるのか調べる。
 この住宅は、浴室の近くにリビングがあるので、リビングの温湿度変化でそれを調べる。

■実験方法

・入浴後、換気扇のON/OFF、浴室のドアの開け閉め、洗面所から浴室に向けて扇風機のON/OFFで浴室内の温湿度変化を測定する。
・温湿度計はSwitchBotのものを使い、浴室内の棚に置きました。
・リビングの温湿度計はLIXILのものを使いました。
・絶対湿度は、温度・湿度から計算し、グラフにしました。
 ※外の風速・温湿度、家の間取りにより、差は出てくるはずなので、住んでいる地域や家の間取り・形によって乾燥までの時間の差はあると思われます。
・窓を開けて涼を得ている時期は、湿気の出入りもあるので、窓を閉めてエアコンで暖房している期間に実験しました。
・換気扇は弱運転で4時間、扇風機は弱運転で3時間回しました。
・この家はUA値0.28W/㎡・K、Q値0.98 W/㎡・K、C値(完成時)0.26㎠/㎡です。浴室は引戸。加湿器で常に湿度50~55%程度になる様にしています。加湿器は18時にOFFになり、24時以降湿度が50%以下になるとONになる様に設定しています。
換気扇 ドア 扇風機
①11/20 ON 開け ON
②11/10 ON 開け OFF
ON 閉め ON
③11/5 ON 閉め OFF
④11/7 OFF 開け ON
⑤11/6 OFF 開け OFF
OFF 閉め ON
⑥11/14 OFF 閉め OFF
・19時頃お湯を沸かし、入浴。22時半頃入浴。23時半頃から実験開始です。
 グラフは17時から16時を目安に作っています。

①11/20

24時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水あり。

②11/10

24時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水あり。

③11/5

24時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水あり。

④11/7

23時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水ほぼ無し。

⑤11/6

24時から開始。6時壁水滴無し。建具溝水ほぼ無し。

⑥11/14

24時から開始。6時壁水滴有り。建具溝水有り。12時壁水滴有り。18時壁水滴有り。

■水滴と水

■考察

・①、②より、換気扇ON、ドア開けなら、5~6時間以内に室内の湿度+10%くらいまで下がる。
扇風機がONなら、そのスピードも速く、浴室内の水滴の残りも少ない。

・③より、湿気を出す為の換気扇だが、ドアを閉めていると湿気を上手に出せていない事が分かる。温度が下がっているのは、換気扇のON/OFF以外同じ⑥でも下がっている事から浴室自体の断熱力が少ないからだろう。

・③より、絶対湿度が下がってはいるが、24時から6時までに絶対湿度7.1g/㎏(DA)減っている。1坪で高さ2.2mの浴室ではザックリ6.75㎏(DA)の空気があるので、約48gの水分が無くなったことになる。湿度95%程度を保ちながら・・・
しかし、湿度が下がっていない点、翌朝6時のチェックから、湿気が外に出たのではなく、結露したのではないか?乾燥した空気が入ってきていなので、その水滴が残った。と考えられる。

・④と①より、換気扇のON/OFFでは、そこまで大きく変化は見られなかった。
しかし、④の換気扇OFFドア開け扇風機ONでは、23時頃からリビングの湿度が上がっている。④では約10%、扇風機OFFの⑤では約5%上がっている。
(この時間帯、加湿器はOFFになっている)

・④、⑤より、多少波はあるが、換気扇を回さなくても浴室内の乾燥が可能なのが分かる。
扇風機で、強制的に室内の(浴室よりは)乾燥した空気を入れる事で、早い時間で乾燥させられる。
⑤は24~4時頃は湿度が下がっていない様に見えるが、絶対湿度を見ると空気中の水分は少なくなっている事が分かる。

・⑥の換気扇OFF、ドア閉め、扇風機OFFだと、湿度は下がるものの緩やかである。
しかし、リビングの湿度は少ししか上がっていない。という事は、浴室内で結露したのだろう。
換気が全くされていない状況なので、24時に開始し、18時間後の18時でも壁の水滴が残っている。カビの事を考えると良くない環境だ。

■全体としては

・家が全体的に暖かければ、換気扇OFFでドア開ければ、湿気は逃がせられる。
確実にするために、浴室に扇風機を向けると良い。
その湿気は、室内の加湿にも貢献できる。部屋の大きさで違いはあるが、今回の物件では、5~10%上がった。

・ドアを閉めていると、換気扇ONでもOFFでも水滴が取れない。ドアは必ず開けるべき。
せめて夜~朝だけでも。

・同じ条件で複数回測定した方が、測定の誤差が少なくなるので、複数回すべきだった。
・同じ実験を夏にもやると、夏ではどの方法が浴室を乾燥させられるか。浴室の湿気が室内にどの程度影響するのかがわかるので、やりたいと思う。

令和3年 3月

住宅性能の中で、断熱性能、気密性能の大切さはよく耳にするようになってきました。
それと同じくらい大切なもの「耐震性能について」構造計算担当の大澤が社長に代わりお話させて頂きます。

まず、「耐震」の意味とは・・・
文字そのままに、地震に耐える事です。耐える為には、構造計算し、正しい設計・施工をしなければいけません。
耐震等級1 建築基準法で定められた基準。数百年に一度の大地震でも倒壊しない(震度6強~7程度でも倒壊しない)
耐震等級2 「1」の1.25倍の耐震性能
耐震等級3 「1」の1.5倍の耐震性能
という基準があります。

平成28年の熊本地震では、震度7を2度観測しました。
その震度7を2度観測した益城町の調査によると、耐震等級3の建物は16棟あり、大きな損傷が見られず、大部分が無被害でした。
つまり耐震等級3の住宅は、わずかなメンテナンス・補修だけでそのまま住み続けられるという事です。
『「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント』より

耐震等級3なら地震に強く、地震が来ても建物の傾きが少ないという事です。
建物の傾きが少ない。歪みが少ない。という事は、テープやコーキングなどの気密部材への影響が少なく、気密性能が保持されやすいという事になります。
気密性能が保持されるという事は、断熱性能がちゃんと発揮されるという事になります。
断熱性能にこだわるならば、気密性能にもこだわり、耐震性能にもこだわるべきです。

・熊本地震での震度7に、2回耐えたという実績があるから。
・断熱性能を数字だけではなく、性能を発揮できるものを造りたい。
この事から、耐震の事もちゃんと考えて家を造っていかなければいけないと考えています。

そこで、構造塾という耐震について学ぶ場に入り、構造塾コンサルという許容応力度計算を実務で使えるようになる為の勉強会にも入りました。
そこでは、なぜ耐震等級3にするべきなのか。から学び、ただ図面上、数字上で耐震等級3にするのではなく、計算のやり方・考え方、どこに気を付けて設計すれば素直に耐震性能を上げられるかも学べます。
そして、実務を通して疑問に思った事、不安に思っている事、アドバイスが欲しい事など質問出来ます。みんなで質問し合い、知っている人が答える。そして塾長の佐藤実さんが答えたり、補足したりしてくれます。

これから家を建てようとしている施主さんが疑問に思っている事を、構造塾に入っている勉強熱心な建築業者が答える
「施主×建築業者サロン」というFacebookページもあります。
そこでは例えば、
「許容応力度計算でお願いしたら、許容応力度でOKでも品確法でNGが出る事があるから品確法で充分ですよ。と言われましたが、どうなのですか?」
という耐震に関する事から、
「横胴縁にした時、縦胴縁に比べてかなり通気量が悪くなるようですが、大丈夫でしょうか?いい方法はありますか?」
「高気密の家と言うけれど、レンジフードは常に「穴」だし、ダクトは金属製で熱橋になりませんか?C値はレンジフードのある状態での数値ですか?」
という耐震以外の質問も上がっています。
この様なこれから家を建てる人、建てている人の疑問や不安な事を建築業者がセカンドオピニオンの様に答えています。

建築業者のみなさんは深く広い知識と、様々な経験を持って質問に答えています。
それを見ているだけでも勉強になります。
私も微力ながら答えられる事は答えさせて頂いています。
皆さん答えるのも早く、先に答えが出る事も多いですが…

構造計算、設計、施工、住んでからのメンテナンスを同じ会社でする事で、耐震に無理のない設計が出来て、無理のない施工方法の納まりも考えられます。
耐震性能と使いやすさ、見た目の美しさ、10年20年たった時の家の使い方住み方、雨仕舞の良さ、断熱部材の種類・施工方法、どこで何を使って気密をとるのか、早く安全に出来る施工方法など、色々な事を一緒に考えられて、無理のない家づくりが出来るようになります。

お客様が、安心して快適に住み続けられる家づくりをしていきます。
その為に、私も三幸住宅も、構造塾、コンサルを通じて耐震についてもっともっと学んでいきます。

令和3年 2月

今回お話しさせていただくのは、3月下旬「体感型 完成 見楽会」予定の「江戸町屋の家」です。

この家の工事がもう少しで終わるタイミングなので、私なりに感じたことをお伝えしようと思います。

この家のオーナーさま(60代前半)はこういった日本家屋が好きで、川越の街に住み(生まれ、育ちは川越の方ではありません。)、尚かつ環境にもすごく興味がある方です。
日本家屋・古民家が好きというだけあって、県外に築200年くらいの古民家を所有し、ご自身で少しずつ茅葺き屋根の茅を葺き替えているほど……。

環境に関しても、若い頃にヨーロッパに行って観た氷河の話をしてくれます。
その場所とおなじ場所に一昨年行った(ご自身は行けなかったので、当時一緒に行かれたお仲間が……)時の写真(風景)を見て、その氷河の変わりよう(ほぼなくなっている)にビックリし、世界的な温暖化の加速感の話をしてくれます。

家は何のために新築(建て替え)するのか?
リフォームではダメだったのか?
新たに造るのであれば、どんな家が良いのか?
一生に一度であれば、そのタイミングは自分にとっていつなのか?
建てるにあたり、なにに重点を置くのか?
今後その家は、誰に譲るのか?

まだまだ悩むべき所は数多くあると思います。家造りに対してのこういった本質の部分の考え方は、お客さま自身が思い悩んで決める部分だと思いますが、そんな方々と縁あって出会ったからには、家づくりを仕事としている私達ができるだけ、家に対しての本当のことをお伝えすることが、施工会社として一番の仕事だと思っています。

なぜ伝えることが一番の仕事なのか?造ることではないのか?という話になりますが、「施工業者選びで家づくりの8割が決まる」ということを、最近特に実感しています。
お客さまにとっては、いかに選べるか?です。

私も自信を持ってお客さまと向き合いながら、その土地に対してお客さまが希望する建物デザインとコスト、住環境(快適で省エネで暮らしやすく)の観点から最適なプランニング提案をしているつもりですが、私以外(他社さん)なら、どんなプランニングを提案するのだろう?といつも思います。(その会社の考え方がまともに反映されるので。)

家の住み心地はプランニング段階でほぼ決まり、造る段階では家づくりに協力してくれる業者さん(職人)達をキチンと管理してあげれば、工事は滞りなく終わります。

これから日本の住宅は「この様になる……」「こうなるべき……」ということが、できるだけ未来を予想しながら、(気候の変化や家の価値に対する考え方の変化)アドバイスをしてあげることで、その家が自分にとっても、この先誰かに譲るときも、色々な家の価値を生み出すことが出来ると考えます。

そんなことを考え、感じながら造らせていただいた家が、またひとつ仕上がります。ご興味があればぜひ。

令和3年 1月

今年最初の「社長が現場で日々思うこと」は、いま続々とUPされている、建築系YouTubeについて話をしたいと思います。

建築系
YouTube

私自身、これから家づくりを考える方々(お客さま)は「住宅の知識を蓄えてから、動き出した方がいい……」(知識武装)と新規のお客さまやブログなどでも話してきました。

これは本当に家づくりを成功させるために、お客さまが出来る非常に有効な手段のひとつです。

現にローコストで考えていたお客さまが高性能住宅のメリットの大きさを「知り」「学び」高性能+自分達らしく生活できる家、を手に入れ、いま実際生活してみて「やっぱりこれでよかった……」と言っていただけるご家族もいらっしゃいます。

これが、2020年春頃くらいから、少し様子が変わってきている様な気がします。
新型コロナウィルス(※以下コロナとします)の影響で、この住宅建築業界も「良くも・悪くも」色々なことが大きく動き出しました。
そのひとつが「建築系YouTube」の拡大です。

いままで全国を回って講演活動をしていたような、業界で著名な方々(書籍などを何冊も出されている方々)もコロナ禍で人を集めての講演活動が出来なくなった代わりに、その時間でYouTubeを利用して、それまではプロの実務者向けに講演していた内容を一般の方(お客さま)により分かり易く情報を提供しようとしてくれるようになりました。

中には東大の准教授なども「これから本当に良い家を建てるには……」といった内容のYouTubeをUPしてくれたりもしています。

これはいままで例のないことで、専門的な話が一般の方(お客さま)により分かり易く伝わるツールのひとつとして本当によいことだと私も思います。

私は建築業界でもう30年弱仕事をしていますが、設計業務・施工業務をおこなう「極度の勉強不足」をずっと感じていました。

例えば、現場監督においては⇒
監督とは名ばかりの、ただの工事段取り屋さんになり下ってしまっているので、なにを聞いても解らない……。
二言目には「設計図面にそう書いてある」という答えしか返ってこない状況。

では、その図面を描いている設計士は⇒
すべてを解っているか?というと、それもない……。
間取り、窓配置、空調位置、換気能力その他を自分の経験と勘だけで設計していて、少し難易度が上がるエネルギー計算や構造計算になると、そこは別なところへ出してしまう。(外注だったりもする……。)
こんな状況で設計するので、これもまた質問に対する答えは「そういう結果が出たから」「そう言われたから」といった、何の根拠も解らないまま。

設計終了現場着工お引き渡し

こんなことでは施工業者がお客さまにとって、より良い家を、コストを抑えて造る努力など、できているわけがありません。
これがずっと繰り返されているのが現実で、年に数十棟程度新築工事を手掛けている会社でも、こんな状態の家づくりをしている会社が多いというのが事実です。

そんな中、想いを持った、これだけの著名な方々が本当の情報をYouTubeで伝えてくれることは、一般の方(お客さま)にとってはとても良いことで、いままで建築業界の性質(一度家を造ってしまったら基本的には二度とないもうこの会社には頼まない!が出来ない頼んでしまったら最後)上、想いのない会社が淘汰されない環境が、少し変えられるかも知れません。

ただひとつ、一般の方がYouTubeで家づくりの知識を少し身につけようとした時の注意点(落とし穴)もあります。

YouTubeでは「著名な方々」「各地域で一生懸命家づくりに対して向き合い日々勉強・努力をしている方々」「ハウスメーカーの方々」「各建材メーカーの方々」色々な人が、色々なことを発信しているので、中には私が視聴しても「んっ?」と思うような内容も多く含まれます。

良いことや事実を発信していても、それを視聴している方に伝わり方がズレてしまうと、ただ不安を煽ることにもなりかねませんので、どのYouTubeチャンネルをみてみるか?を少し整理してから視聴する必要があります。

基本的には誰よりも勉強をし、誰よりも現場で計測データを集め、誰よりも試行錯誤し、その中で少しの、時折起こる不具合を対応してきたからこそ、一流(著名)といわれるようになります。

そして、そういった方の設計・施工費は適正料金などで、業界全体の平均から言うと高額です。(特に設計に関しては、そもそもお金をいただける設計がなされていないという事実もあり、サービスもしくは少しの経費程度で設計しているような業者も多いので、その金額差は大きく出てきます。)

一般の方は必ず、このような事実も踏まえて施工業者を選んでいかないと、同じ性能ぐらいなら安い方がいい、と単純な話ではありません……。
それが一般の方(お客さま)も頭のどこかで解っているから、色々な人、色々な会社の話を聴こうとするのでしょう……。

最近は私達三幸住宅にお問い合わせいただけるお客さまの中にも、「YouTubeで○○さんがこう言っていた」「□□さんはこれを使っているみたい」という質問の数が増えてきました。

私は考え方の根拠とともに、キチンと説明をさせていただきますが、あまりその手の質問が続くと「では、その方にお問い合わせになってみたらいかがでしょうか?」と言いたくなる気持ちになります。
ゴール(トータルとして良い性能の家を、コストを抑えて造ること)が同じであれば、そこに向かうルートは人(業者)それぞれなので、そのルートが「○○さんと違う」と言われても、業者は困ります。

そんな質問を数多くぶつけてくる方に限って、結局なにが良いのかそして悪いのか解らなくなるケースが増えてしまいます。

あくまでもYouTubeは家づくりを基本的に間違わないようにするために必要な知識を得る手段のひとつであり、工法やデザインをすべて暗記し、丸パクりするためのツールではありません……。そしてそんなことを経験のない施工業者にお願いすれば、色々なトラブルも起きかねません……。

その辺りは、自分が統合的に気に入って、納得がいく施工業者さんに相談してみたらいかがでしょうか。

では最後に、私自身が「この人達のYouTubeを参考にしてください」と言えるYouTubeチャンネルを紹介して終わりにします。
(複数ありますので、今回はその一部です。)

今回もお読みいただき、ありがとうございました。
■松尾設計室 松尾 和也さん

やはりこの人、基本ですね。
■ラグジュ 本橋 哲幸さん

本橋さん個人の雰囲気が個人的に好きです。そして聴きやすい。
■構造塾 佐藤 実さん

木構造では、この人以外いないかな……。
■オーガニックスタジオ新潟 相模 稔さん

物言いが職人さんっぽい感じが個人的に好きです。
■Ota建築設計 太田 佳樹さん

テンポ感があって、聴きやすいです。
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