社長が現場で日々思うこと

令和2年 11月

栗やサツマイモが美味しくなり、朝晩の空気の冷たさを感じ、季節の変化を感じています。
この前TVのニュースで「三蜜を避けるために、窓を開けて換気しましょう」「寒い空気は新鮮な空気なので我慢しましょう」という事を言っていました。
私個人としては「えっ?それって・・・どうなの?」と思い、考えて調べてみましたので、今回の社長が現場で日々思う事は、大澤が書かせて頂きます。

まず、家の換気は足らないの?という所を調べました。
厚生労働省から『「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法』という物を見つけました。
ここに、「ビル管理法をクリアしていれば必要換気量(1人あたり毎時30㎥)を満たすことになり、「換気の悪い空間」には当てはまらない。」とあります。

ビル、住宅などでは24時間換気しなくてはいけないというルールがあります。(平成15年に法律が出来ました)
必要な換気量を計算し、換気ルートも考え、機械で換気します。それは、呼吸による二酸化炭素や、家具や建材の化学物質を部屋にため込まない様にする為です。

これをクリアしていれば、更に換気しなくても安全とは言い切れませんが、一つの基準になります。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/tamakodaira/kankyou/kentikubutunoeisei/kankihouhou.html
住宅では、1時間で家の空気を半分(=0.5回)入れ替えなければいけません。
これを計算すると・・・

30坪の住宅(一般的に売られている家の大きさ)だと、
30坪≒床面積100㎡≒体積240㎥ となります。
1時間で半分なので、120㎥以上換気しています。
ちょっと広い40坪の住宅では159㎥以上換気しなくてはいけない計算になります。

先程のビル管理法の1人30㎥の換気量というのとを照らし合わせると、30坪の住宅では4人までは「換気の悪い空間」にはなりません。
40坪の住宅では5人までは「換気の悪い空間」になりません。
窓を開ける前に、この家の大きさと人数を確認するのも大事ではないでしょうか?
そして、この換気の機械にはフィルターが付いているはずです。このフィルターの掃除も気にしなくてはいけません。メーカーや機種により期間が違いますが、2カ月に1回程度は掃除した方が良いかと思います。
お風呂やキッチン以外の場所で、換気扇にスイッチがある場合、それを切っていませんか?吸気口がある場合、フタしていませんか?

24時間換気でも足らない場合は、窓を開けるのが一つの方法です。
窓を開ける時は1部屋で2カ所窓を開けましょう。出来れば部屋の対角線で開けられれば良いです。1カ所しか窓が無い場合は、ドアを開け、家を繋がった一部屋にするイメージで窓開けをしてください。
窓の開け閉めで換気するという事は、外の風の強さや室内との温度差で影響が大きく出ます。
なので、風が弱い時にちゃんと換気したい場合は、キッチンの換気扇を強運転して一番遠い窓を開けると、空気が流れます。
キッチン換気扇は、強運転で1時間400~500㎥のパワーがあります。
お風呂の換気扇は1時間で80㎥程度でした。
※メーカーや種類によっても変わります。
それを計算すると、部屋の半分の空気量の換気時間が下の表になりました。
風のない日、短時間でちゃんと換気したい時などは、このような方法も参考にしてください。

換気してきれいな空気を家の中に入れるのは良い事なのですが、換気し過ぎると良くない事も起こります。
それはこれからの季節、冬に起こります。
換気の機械には「熱交換」が出来るものもあり、冬であれば外の寒い空気を家の中の暖かい空気で温めてから中に入れます。
その熱交換が付いていない機械による換気、窓開け換気に関しては外の空気をそのまま入れています。
という事は、窓開け換気をすると、寒く乾燥した空気が大量に入ってくるという事です。

部屋が寒く乾燥するとどういう事が起きるかというと…
・乾燥するとウイルスが活性化する
・乾燥により、喉の線毛運動の働きが弱まり、体内にウイルスが入りやすい
・アレルギー性鼻炎、アトピー、高血圧、関節炎、糖尿病などに影響
・心臓への負担が大きくなる
・乾燥はお肌の敵
・寒くなった空気を暖める為、光熱費が掛かる
等が起こります。
コロナ対策で窓開けて、風邪をひくなどない様にしてください…。
左の転居前が寒い家、右の転居後が暖かい家に住んでいる人です。
なので、まずご自分の家の大きさと人数で「換気の悪い空間」なのか確認する事。
吸気口のフィルターの掃除、メーカーによってはフィルター交換をする。
集まった人数などにより、必要に応じて窓を開ける。その時は1部屋2カ所。又はドアを開け大きな部屋として考えて、空気の流れをつくってあげる。
風のない日はキッチンの換気扇などを使い、そこから遠い窓を1カ所開けて換気する。
換気に関しては、こういう考え方でいいのではないでしょうか。
そして、これからの季節は部屋を暖かくし、適度な加湿をする。20~22℃、50%程度が良いです。
栄養バランスの良い食事をとり、充分な睡眠をとる。そして、家族や友人と楽しく笑って過ごす。
という事も大事にして、このコロナ禍を乗り切っていきましょう。

令和2年 10月

今回は高性能住宅の中に含まれる大切な要素のひとつ、耐震の考え方についてお話ししたいと思います。
(※耐震の考え方については以前もお話しさせていただいていますが、話す角度を変えながら何度でも。)
高性能住宅の中には断熱力・気密力の他にいろいろな家の能力を「分析」「計算」しなければならないことは、先月(9月号)の社長が日々でお話しさせていただきましたが、その中でも私的に「耐震性能」というのは非常に難しい「カテゴリー」だとずっと前から思っていました。

断熱・気密・除湿・加湿・日照・光熱費という分野は、そのことを学ぼうとしたとき、書籍やシミュレーションソフトなどで勉強・検証し、引き渡し後の実データを照らし合わせれば自分達の設計・施工した家が事前の計算・シミュレーションと誤差がどれくらいあるのか?ないのか?で今後の微調整を重ねていくことが出来ます。

しかし耐震という構造性能は私達実務者からすると非常に奥が深く、理解しようとしてもなかなか理解しづらいというのが現実です……。

では、どんな部分か?というと……。
自社で設計したプランを構造計算とするとします。

■木造躯体(軸組)の場合
一般的に住宅の設計をする際(工務店・ハウスメーカー・設計事務所問わず)お客さまと作ったプランニングを構造計算ソフトに入力し、そこに出てくるNGを消していく……。もしくはNGが消えてくれるまでプランニング(壁の位置)を微調整していく……。それでもダメなら最悪プラン変更、ということになります。ですが最初から耐震等級3をなんらかの形で取得しようとしている施工業者さんならプラン変更になるようなことはまずありませんし、耐震のことを始めから考えていない施工業者さんの場合は計算すらしないので、プラン変更にならないということになります。
(※もう少し細かい構造計算の手順を説明すると、まずプランニングを構造計算ソフトに入力し、そのプログラムに最大等級である耐震等級3・耐震等級2と指示を出したとします。するとその家の部位ごとにOKNGが示されることになります。)

現在の住宅設計をしている方で、構造計算を手計算でやる人は居ないと思いますが、プログラムを使うからこそ、そのプログラムが示すNGを消す作業が中心の仕事になります。

■基礎設計の場合
基本的に基礎の構造計算も軸組に対する工程と同じですが、木造住宅を設計している人でRC(鉄筋コンクリート造)やSRC(鉄骨・鉄筋コンクリート造)の設計から木造設計に移ってきた、というケースは住宅業界では稀で、一般的には、木造設計を始めた人はずっと木造、RC造・SRC造を始めた人はずっとRC造・SRC造をしています。

大工さんが木に対する勘があるように、RC・SRCの構造計算をやっている人たちは、その経験とそれに基づく勘の中で、コンクリートと鉄骨の関係でどうやったらコストを抑えて、強度を出せるか?ということはわかっています。
しかし、木造設計をずっとやっている人の中で基礎設計が得意な(熟知している)人に私は出会ったことがありません……。

ではどうやって住宅の基礎計算をしているのか?というと、基準となる基礎配筋表を元に設計することになるのですが、平屋建て、2階建てにはどんな家にもあてはまる基本表のようなものがあり、これを基準とします。
そこに正確な家の重さなどは計算しないで……というのが今の住宅基礎設計の大半ですし、設計というほどの計算が掛かっていないケースも多くあります。
(※これは一般的な住宅が建築基準法の4号特例に入るからなのですが、このお話はまた後日……。)

ではこれが絶対に間違えているか?というとそうとも言えず、合っているのかといってもそうとも言えず……といったことになります。
ハッキリした答えが知りたいために基礎に構造計算を掛けると、またNGを消していく作業になります。

■地盤設計の場合
ここで言う地盤設計とは地耐力計算のことを指しますが、この話にまで来ると、さらに難しくなります。難しいと言うより、木造の住宅設計をしている人で、地耐力にまで神経を使っている人が日本にどれくらい居るのだろう……というレベルだと思います。

では、一般的にどうしているのか?というと、設計者は地盤調査会社(地盤杭工事業者が兼務しているのが大半です。)に地盤調査を依頼します。
そこでその土地に、その建物を建てるにあたり地盤改良をした方が良いか?しなくても大丈夫なのか?(その地盤がその家の重さに耐えられるか?)の判定が出てきます。
(※木造住宅の場合は地盤杭という表現をしますが、これはその杭が支持地盤に到達しているわけではなく、比較的強い地盤がある程度連続している部分に支持させるイメージで、地盤改良工事に属します。)

そして設計の実務者は、この判定を受け地盤改良工事をダンドリ・施工します。

工事にあたり、どの様な杭をどれくらいの長さで施工するのか?(※杭設計では杭耐力を、平屋・2階建てなら「㎡=20kN」一律で計算、3階建てなら「㎡=30kN」一律で計算するのが一般的でしょう。)
も地盤改良業者が提案してくるものを採用するケースが非常に多いのが現実です。
これは悪いことではないのですが、実務者達がもう少し勉強すべき!!という思いは、私個人的にずっと思っていることです。

■今回のまとめ
ここまで読んでいただいている、一般の方には少し難しい話になってしまったかも知れませんが、「何を伝えたかったか?」というと……

構造計算で軸組と基礎の計算をするとき、ただ構造計算ソフトの指示のままにNGを消していく作業に徹してしまうと、木構造理論が分からないままになり、もっとコストダウンできる施工方法を見つけることが出来なくなってしまうこと……。

地耐力も同じで、一律での計算を基本にするということは、保証を出すということもあり、本来必要とする耐力より大きい地耐圧が掛かる設定(地盤に対して不利側)で計算をすることになります……。

このことにより、必要以上に地盤改良にコストが掛かっている可能性があります。実務者が家造りの各部分を外に丸投げしてしまうと、その施工方法とコストバランスが本当にお客さまにとって有利なのか?が解らないままの提案になってしまっている可能性も多々あると思いますので、少しずつにはなりますが、確実にひとつひとつ、個人、会社のレベルを上げていくことが大切だと考えます。

ということで、私、新井自身が日本の木構造の第一人者と言っても過言ではない、佐藤実さんが主催する構造塾の木構造マイスターという資格を取るために勉強会に行ったときに受けたインタビューの動画を貼り、今回は終わりたいと思います。

ありがとうございました。

令和2年 9月

今回は高性能住宅のデザインについて話をしたいと思います。

高性能×デザイン

なぜこの話をしようと思ったか?というと、高性能住宅=(高断熱+高気密)のイメージが強くなっていますが、本来の高性能住宅は(高断熱+高気密+高耐震+制震+日射取得+日射遮蔽+日照シミュレーション+加湿量計算+除湿量計算+エアコンの容量計算とセット位置+ランニングコストシミュレーション+太陽光シミュレーション等々)となり、深く考えれば考えるほど、家に対するいろいろな制約が多くなり、お客さまの希望をすべて取り入れるための難易度が上がります。

その中でも、大きなポイントは2つあります。

■POINT 1
許容応用度による耐震等級3の取得(構造計算)

この場合、少なからずプランニングに制限が出ます。
打ち合わせの段階から設計者はこの耐震等級3を頭に入れながらプランニングを進めないと、あとで大変になることも多くあります。
お客さま(素人)手動でプランニングを進める住宅会社もまだまだありますが、このケースの場合は「垂直荷重」と「水平力」とのバランスがとれなくなる可能性が高くなり、プランニングがほぼ納得いく段階になってから「構造計算」をかけると耐力不足の部分が多くなり、プランニングをやり直すことになります。

※もしくは耐震力を計算しないか、壁量計算だけなど……。

このケースの場合は経験上、お客さまにとっても、やっと自分のイメージで固まったプランニングをまた大きくやり直すということになりテンションも下がってしまいますし、施工業者にとってももう一度やり直す時間と労力を使います。

お客さまにとって目に見えない(触りづらい)、耐震力の大切さを実感としてイメージし、納得していただくということは施工側の義務だと思っていますので、打ち合わせの最初から耐震力の重要性を深く分かり易く説明する必要があります。

■POINT 2
住環境の温熱(断熱・気密など)

これはいまの家づくりで一般的に言われる、ZEHやHEAT20と思ってもらってよいのですが、
ZEH = 快適?
HEAT20 G1 = 快適?
HEAT20 G2 = 快適?

HEAT20の場合はこのグレードの上にG3もありますが、ZEHやHEAT20の計算が図面上してあれば、これがイコールすべて快適か?というと、まったく違います。

人にとって快適かどうかは、個人差もあるので100%にすることは難しいですが、PMV(温冷感指標)や少なくともエンタルピーを考えながら100%に近づけます。
そして、この快適環境をいかにできるだけエネルギーを使わずに実現するかが設計のポイントです。
この場合も大きく分けて2項目注意しなければいけません。

※その1
一次エネルギー(電気・ガス・石油など)を削減させて、無料のエネルギー(太陽)をいかにうまくコントロールしながら使うことができるか?ということになりますが、住宅では「夏の日射遮蔽」と「冬の日射取得」になります。(軒の出・庇・霜除けや窓ガラスの種類などの調整)
このことから箱型(キューブ)の家は高性能住宅にはあまり向いていないということになりますが、どうしても一部分こういったデザインを取り入れたい場合はなんらかの形で太陽の光線と熱をコントロールする必要があります。(外付けオーニング・外付けブラインドなど)
このことがデザインには大きく影響する部分のひとつ……。

※その2
創エネという意味でも太陽光発電も必須とする住宅の流れにあるので、搭載容量を考えると屋根形状(デザイン)の制限が掛かるのと、太陽光パネルの取り付け方(ビスなどでパネル取り付け用金具を屋根面に打ち付けるのか?屋根に穴を開けずに屋根材に挟む取り付け金具を使うのか?もしくは屋根一体型の太陽光パネルにするのか?)も考慮するので、屋根仕上げの材料や葺き方もある程度決まります。
そうするとデザイン的にはいつも同じような家ばかりになってしまい、面白くありません……。
高性能とデザインという、場合によっては相反する事柄を融合することが私達実務者(施工会社)の本当の仕事であり、技量の差が出る部分になります。

ここで、2020年今年の11月、12月に上棟予定の家のデザインを紹介して、今回は終わりにしたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

■11月上旬上棟予定
小江戸 町屋
■12月上旬上棟予定
Doma 家

令和2年 8月

今回は「社長が現場で日々思うこと」ではなく、「女大工が現場で日々思うこと」を松田が話したいと思います。

まず、初登場、女大工とはどんな人物か簡単に自己紹介させて頂きます。今回書かせて頂く女大工とは、4月に入社し約半年・工業高校卒業・中高ソフトテニス部。約5年間ソフトテニス部で練習、筋トレやフィジカルトレーニングに励んできたので、力にはまあまあ自信があったのですが、仕事を始めて一番に感じたのは、やはり力不足でした。力不足をカバーしていくには経験とコツが大切とのこと。それと持てないなら持てないなりの工夫。コツと工夫はまだまだですが、半年間重いものを扱ってきたおかげで入社当初よりは持てるようになってきました。
重いものを持つのは、毎日毎日持っていれば、勝手に持てるようにはなりますが、私にとって何よりつらいのは身長が低いこと・・・。私は身長が154cmしかない(三幸住宅の平均身長175cm前後)ので、先輩方なら脚立を使わなくてもとどくところでも、私はいちいち脚立を持ってきたり、動かしたりしなければいけなかったり、私専用で4尺(120cmくらい)の脚立を持って行ったり・・・。なかなか悩ましいところです。それと身長に伴って腕や足も先輩方より短いわけで・・・。重さ的には持てるものでも、寝かせてあるものを起こす際、ギリギリつかめる程度になってしまって、力が入らず起こすことが出来ない、やはりここでも経験とコツと工夫が大切だと思い知りました。

力で比べてしまうとどうしても男性より劣ってしまいますが、別の面でいいことがありました。その中で3つ程ピックアップしてお話ししたいと思います。

1つ目は、新築の現場には必ず仮設トイレがありますが、以前協力業者の方がこんなことを言っていました。「瑞生ちゃんが来てからトイレがきれいになった気がする」と。こう言ってもらえると女性が現場にいるだけでもその価値があるのだと思いました。

2つ目は、先日竣工した、私が初めて頭の方から関わらせて頂いた新築現場のお客様との出来事。見学会が終わってその片付けをしていると、お客様がいらっしゃって、お礼にとビールを持ってきてくださりました。ですが私はまだ18歳。せっかく持ってきてくださったのに・・・と思っていたら、それとは別に袋が・・・。「瑞生ちゃんにはこっちね!」とお客様から手渡されたものは・・・
クッキー&スマホポシェット
お酒が飲めないという事を考えて、こんなに素敵な物をわざわざ私だけのために選んでくださったことが本当にありがたいことだと思いますし、こういったことは当然のように起こることではありません。初めての新築現場でとてもいいお客様に出会えたことを本当に嬉しく思います。

3つ目は、現在担当させて頂いている防音工事の現場でのこと。そのお宅には4歳の女の子がいて、現場に行くと、「おねえさん!おはよう!」「おねえさん!いってきま~す!」「おねえさん!またね~!」と行くだけで喜んでくれて、帰る時になるとちょっと悲しそうな顔をして、「また来てね!」と言ってくれて、こんなになついてくれると行くのも楽しみになるし、楽しみに完成を待ってくれているから頑張らないと!といつも力をもらっています。完成して会えなくなるのはとても悲しいですが・・・。

これからも誰もが出来る事ではなく、女性である自分にしか出来ない事、自分にしかないものを磨いていこうと思います。

令和2年 7月

今回は三幸住宅の家づくりへの想い・こだわりを大澤が書かせて頂きたいと思います。
その想い・こだわりの中のベランダの造り方に関して書いていきます。

通常のベランダだと、人の通れる幅は70cm~75cm程度だと思います。
洗濯物を干す等には使えますよね。
ではそこに排水の為の「ドブ」を造ると10~15cm程度ドブに使われます。
そしてそこにエアコンの室外機が置いてあると…
そこで私たち三幸住宅はドブで排水を取るのでなく、ベランダ全体で勾配を取ることでドブを無くし、70~75cm全部を通路としています。ベランダ幅全て使えるので使いやすくなります。
ドブを無くせるメリットがありますが、デメリットもあります。
それは、ベランダが長いと床が高くなってしまうことです。
しかしこれは排水の数を増やすことで解決できます。


ベランダの排水には2種類あります。
通常の排水口と、オーバーフローです。
オーバーフローが活躍する時は、
・排水口が詰まった時(落ち葉など)
・配管が詰まった時、(泥などが沢山入ると詰まることもあります)
・はけきらない程のゲリラ豪雨が降った時や台風
などです。
その為、オーバーフローはサッシより低い位置につけ、家の中に水が入らない様にします。
一般的にはΦ30mmくらいが多いように感じます。
見た目は、小さい方がすっきりしていていいですね。
私達は、排水と同じΦ50mmにしています。オーバーフローが活躍するときは非常時なので、詰まらない様に、沢山の水が出せる事を第一に考えています。


排水口の詰まりを避ける方法として一番大事なことは「掃除」です。特にベランダで植物を育てている人や、近くの木から落ち葉が入ってくる人は排水口にゴミがたまりやすいので、こまめなチェック・お掃除をお忘れなく・・・

令和2年 6月

今月は5月上旬に竣工した物件を紹介させていただきます。

【物件情報】

数寄屋風 錣(しころ)屋根の家
基本性能
UA値 0.33
Q値 1.18
C値 0.28(竣工時)

ηAC 1.3
ηAH 1.2

【設計コンセプト】

このお客さまは大変目が肥えていらっしゃる方で、三幸住宅が手掛けた物件のことはよくご存じです。

そこでお客さまから
「三幸住宅さんがいままであまり施工例のないもの、人と違うもの、で外観全体をデザインしてほしい。」
というご要望を頂きました。

和風住宅は屋根形状と軒の出設定、矩計(カナバカリ)で外観のデザイン性(美しさ)が8割以上決まってしまいます。

そうは言っても、屋根形状に関しては「入母屋」「寄せ棟」「切り妻」「起り(むくり)」「反り(そり)」「照り(てり)」すべてやり尽くした感じがあり、その中でどうやってお客さまの要望に応えようか?と最初は思いました。
しかし結論が出るまではあまり時間が掛からず、私がずっと「いつかこういうデザインもやってみたいな……」と思っていたイメージにうまくハマりそうだったので、数寄屋風 錣(しころ)屋根で行こうと思い、お客さまに提案しました。
そして、お客さまにもこの提案を喜んで受け入れていただき、スタートしました。

※錣とは……
※1 錣とは、兜 (かぶと) の鉢の左右・後方につけて垂らし、首から襟の防御とするもの。多くは札 (さね) または鉄板を三段ないし五段下りとしておどしつける。

※2 錣葺きとは、兜の錣の様に屋根の流れ面が途中で屋根勾配が一段下がり全体として2段となっている屋根の葺き方をいう。切妻に4方向に葺き下ろしの屋根を廻したものや、寄棟の4方向に廻したものもある。

これで外観のデザインベースは決まりました。しかし、一番大切なこの建物のメインコンセプトを決める必要があったのですが、耐震性能や断熱性能などはもう当たり前として、もっともっと深い部分……この家だけの意味を持たせたい……と考えていたとき、私の目に入ってきたのが、こちらの写真右側のFIX窓奥に見えている竹林でした。
この竹林に花が咲いたのです…。

竹は種類によっても少し異なる様ですが、60年から100年に一度花を咲かせると言われています。
竹に花が咲くとその竹林はすべて枯れ、その場所でまた新しく群生する準備に入るということが、ちょうど既存の建物を解体する時期と重なり、「一時代の終焉」と「新たな時代の始まり」というイメージがピッタリ合ったので、この家全体の設(しつら)えを竹で行こうと思いました。

※竹の花言葉
日本語:「節度」「節度のある」
英語:「強さ」「不動」

このような始まりで造り終えた、数寄屋風 錣屋根の家……。
それでは、中に入ってみましょう。

玄関を入ると、正面にこんなデザインがあります。
これは昔、特に茶室などによく用いられた「下地窓」を模した組子です。
この家全体の仕上げ色味は、昔からある自然色(墨色、朱色、藍色、い草色、竹色)でまとめ、色数はある程度多いのですが、少しでも自然に映えるようにしました。

玄関を入って左手を見ると、このようになります。
上り框の上は化粧屋根を掛け、門のように見せました。
これを見たときに、この家を訪れた方が「この先はどうなっているのだろう?」とワクワクしていただけるようなイメージで造りました。

室内に入ると、畳敷きの広縁になります。
天井や壁に照明器具は付けず、天井の角(建具の上)に造作照明カバーを施工しました。
これもアイデアのひとつですが、竹垣の大津垣というものを模して、ワーロン(アクリル板)を細く切り、大工が竹の柱間に編み込みました。

九四(きゅうし、9尺4枚建て建具)の障子を開けると、8帖の本格和室になります。
私室を背にして外を「チラ見ッ!!」こういうアングルが「The Nippon」

次に、和室です……
ある程度大きい住宅になると、2間続きの和室も多いですが、お客さまの方から仏壇付きの和室1間で充分との要望があったので、8畳1間を設えました。

様式に関しては一般的な和風ですが、お客さまのリクエストにより私自身(先代から)の十八番、四方尺五寸升組みに竿縁目透し天井を手造りしました。

それに総ケヤキ、間口6尺の仏壇(バランスにかなり苦労しました……)と竹を使った座卓も三幸住宅手造り商品です。

もう一度玄関に戻ります。
玄関右手は、このようになっています。

このお宅は来客が多いため、訪れた方に気軽に上がってもらうためのスペースになります。
先程も説明しましたが、正面やや右にある大きなFIXサッシの先には竹林が見え、そのサッシ左(室内)に竹のオブジェ(無垢加工竹)、さらに左(キッチンへ入る入口建具)には竹の切り絵をはめ込んだ建具があります。
こうすることにより、外と中の空間がひとつになるように設計して、この家を訪れた方々にも少しでもリラックスできる居心地のいい場所になっていただけたらと思います。

FIX側から見るとこのようになっており

正面に見えるのが茶室となります。
そもそもこの空間は、室内ですが屋外のイメージで造ったので、茶室とその向かいの待合というデザインになっています。

この空間を広縁から見た様子です。

そして茶室の「にじり口」を模した建具を開けると、このような感じになります。
この茶室はできるだけコストを抑えて、本物をできるだけ忠実に再現することに苦労しました。

室内側から見た様子はこうなります。
この空間は8帖の和室とも繋がっているため、使い勝手、動線的にもよくなっています。

夜「にじり口」から待合を見た様子です。

次はお客さま用トイレです。
三幸住宅としてもトイレ(特に、この家にいらっしゃるお客さまも使うトイレ)のデザインには、頭と時間を使います。

時間は掛けますが「コストは掛けない」というのが拘りで、アイデア先行でデザインします。
ちなみに、この手洗いカウンターは建て替え前の和室で使われていた座卓を再加工したもの(ブビンガ材)

ここからはプライベートゾーンの紹介です。
プライベートゾーンに関しては、三幸住宅標準仕様になっており、造り付け家具を豊富に設えたシンプルな造作になります。

■LDK

■寝室

■脱衣

この家の紹介の最後に……

1)夜、照明が灯った様子の写真の一部

ポイント
・照明に灯が入ると、また少し違った雰囲気になる

2)こだわり部位の詳細写真の一部

ポイント
・建具の切り絵は、下絵は私(新井)が描き、切り抜きは、三幸住宅のお得意さま(お客さま)に切り絵が趣味の方がいらして、その方に手伝って頂きました。
・化粧屋根は3つ、すべて違う仕上げにしました。

3)外部・庭の写真の一部

ポイント
・ポストと宅配BOX(上下2連仕様)はこの家に合わせて造作
・庭に使った材料で買ったものは、枝垂れモミジと白砂利だけ……。その他はほぼ、この家に前からあったもの
 (※土に半分埋まっていたような、いつからあったかも分からないもので、材料費はほぼゼロ)

などなど……
をご紹介させて頂き、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
代表取締役 新井 克典

1)夜、照明が灯った様子

2)こだわり部位

3)外部・庭

令和2年 5月

 冬は室内が乾燥気味になります。水分量の少ない空気を暖めるので、湿度(%)は低くなります。例えば、4.5℃49%の空気(昨年1月の平均)を20℃まで暖めると17.6%、22℃まで暖めると15.6%になります。
 そこで、加湿をするために加湿器を使います。
 その加湿器の上手な使い方が一つ見つけられたので、今回の「社長が現場で日々思うこと」の場を借りて、大澤に紹介させてください。

 冬に、エアコンで20~22℃に、加湿器で50%以上にする事は出来ました。しかし、問題が1個発生しました…。
 雨の日などの外の絶対湿度が高い時、家の中の湿度が60%を超える事があります。
 (2020年3月30日のグラフを参照してください。)
 その時だけ手動でON/OFFというのも手間がかかる。忘れちゃう…と思い、考え、調べました。

 任意の湿度に調節するのは、私の思いつく範囲ではこの3点の方法です。
①湿度センサーで電源をON/OFF
②IoTで湿度計とプラグを繋げ、ON/OFF
③湿度調節が出来る加湿器を選ぶ

①湿度センサーで電源をON/OFF

 湿度センサーは、コンセントでON/OFFするので、使用した加湿器とは、相性がいいです。コンセントを差してスイッチを押さないとONにならない加湿器とは相性が良くないです。
 加湿器の近くで湿度を測ることになります。(延長コードでつなげば遠くでも出来ますが)

②IoTで湿度計とプラグを繋げ、ON/OFF

 ①を遠隔操作でやるイメージです。任意の場所に温湿度計を置き、そこの湿度で設定できます。Wi-Fiがないと繋げられません。
 温湿度測定もしたかったので、今回はこれを採用してみました。温湿度計・プラグを同じメーカーで揃えられるので「SwitchBot」というメーカーのものを買いました。

③湿度調節が出来る加湿器を選ぶ

 中には、湿度によってON/OFFできる機種もある様です。しかし、自動給水の装置との相性が悪いのもあるので使えるかどうか…。


 採用した②のIoTの話を少し詳しくします。
 湿度計とプラグはそのままでは連携出来ていません。Wi-Fiに繋ぎ、スマホアプリを通じて連携させなければいけません。温湿度計・プラグなどはメーカーごとにスマホアプリが分かれています。そのアプリはGoogle home、Alexaというアプリで、違うアプリ同士でも連携する事が出来ます。
 しかし、違うアプリ(メーカー)でやってみたのですが、Google homeでは、温湿度計の温度は出来ても湿度は連携出来ない。照明リモコンのON/OFFは出来ても調光が出来ないなど、連携できない事が多かったです。
 その為、同じメーカー(=アプリ)の中で温湿度計、ハブ、プラグを揃えなければいけません。なので、今回は「SwitchBot」というメーカーで揃えました。
そのアプリの中で、
・「湿度が50%以下」で「プラグON」(=加湿器ON)
・「湿度が55%以上」で「プラグOFF」(=加湿器OFF)
という「シーン」を設定します。
 これにより、加湿器による加湿し過ぎになることはなくなります。
3月30日の下加湿器を最弱にしているのですが、湿度が65%付近になっている時間があります。寝室ロフトを除き、低い時間でも57%です。これでは湿度が高すぎてしまいます。

4月25日の下お風呂の加湿を利用していますので、19時頃から1階脱衣場を中心に湿度が上がり、朝まで加湿が効いているのが読み取れます。
その後は湿度50%~55%になっています。
上下階のエアコンの設定の調節が上手くなり、温度のブレが少なくなっています。
スマートフォンのSwitchBotアプリの「シーン」設定画面
 この加湿器を置いた物件は、新築してすぐなので、基礎コンクリ―トからの水分の影響が考えられます。概算で計算すると、1時間当たり0.42㎏の水分が出ていることになります。床下も機械で換気していますが、室内への影響は大きいはずです。
 また、お風呂による加湿の効果が大きく、その時間は加湿し過ぎ(60%以上)になります。
 今後の課題は、お風呂による加湿を考慮して、湿度が上がりすぎない様にする事です。
 お風呂の温度・湿度を有効利用して、加湿器の電気代も少なくなるメリットもあります。
風呂に湯をためる時間は加湿器がONにならない様に
・「湿度が50%以下」で「プラグON」「23:00~18:00の間」
・「湿度が55%以上」で「プラグOFF」
・「時間が18:10」に「プラグOFF」
とすれば、18:10~23:00はプラグがONになりません。
 加湿しすぎない様に、この時間を調節していきます。約2年後基礎からの水分が少なくなるはずなので、その時また微調節をしていこうと思います。

 加湿器をIoT化して、湿度50%程度をキープする事で、インフルエンザの空気感染しにくくなり、免疫力も上がり、健康に住める家づくりに一歩近付けられるようになりました。

令和2年 4月

今月は、インテリアの色についてお話します。
現在、コロナウイルスの影響で在宅勤務の方が多くなってきていますが、
室内のインテリア(クロス・カーテン・家具等)の色によって仕事のはかどり方も
変わってくると思います。

気持ちをクールダウンさせ、精神的にも肉体的にもリラックスし、安定した状態を保つ事ができます。
また、集中力を高めることも出来るので勉強部屋や書斎など知的な作業を行う空間に適しています。
デスク周りに青色の物を置くと仕事がはかどることも。
例)トーマス・ドラえもん

青とは逆に気持ちが高ぶり脳を活性化する時におすすめです。
短い時間でいっきに作業を片付けたい時はいいのですが、集中力は続かないので長時間作業より短時間作業に向いている色です。
強いエネルギーをもつ赤は魔除けの色として用いられ、神社の鳥居などにも使用されています。
例)ジェームス・ムック

茶色は落ち着きを感じ安心感をもたらす色で木の色に近い色なので、本能的に安心できる色です。
親しみやすく飽きがこない色です。
例)トビー・どうもくん

明るい黄色には体に刺激を与える作用があります。
脳を刺激してアイデアが欲しい時に閃きを与えてくれるかもしれません。
反面、個性が強く目や精神を疲れさせてしまうので、アクセントなどで使用するのがよいでしょう。
例)カーリー・ピカチュウ

気持ちを穏やかにして、ストレスを和らげる時におすすめ。
目に負担をかけない優しい色なので、長時間に渡ってパソコンやスマートフォンを使用した後は、緑のものを見ることがおすすめです。
例)パーシー・ガチャピン

室内の色を変えるのは中々大変なので、パソコンのデスクトップの壁紙をかえたり、筆記用具や小物の色をかえるのもおすすめです。
※子供の好きなトーマスやその他アニメキャラクターもそんな意味もあるのでしょうか?

令和2年 3月

今回は、ZEHと家づくりで考えていただきたいことを大澤が書かせていただきます。

2019年度のZEHの5時募集が終わりました。
2020年度は、2019年度より金額は変わりますが、補助金は出るようです。
ZEH+Rというものも2019年度から出ていました。
ZEH+を満たした住宅に、停電時のレジリエンスを強化した住宅です。
停電時でも、リビングで非常用コンセントか蓄電システムから、電気を使えるようにしなくてはいけません。
また、蓄電システムか太陽熱温水システムを付けなければいけません。
詳しくは「平成31年度の経済産業省と環境省のZEH補助金について」をご覧ください。
太陽光パネルを載せて補助金がもらえれば、ZEHでもZEH+Rでも売電期間の10年で元が取れるというわけではないかもしれません。
それは、住まい方による電気の使用量、断熱性能による光熱費の違いなどが各家庭で違ってくるからです。

太陽光パネルや太陽熱温水システムなどの創エネルギーシステムを住宅に取り入れることは、一次エネルギーの削減に繋がります。
電力会社の発電量にも関わってくるのではないでしょうか。
そして、それは地球の環境にも関わってくるのではないでしょうか。
子ども達が、この先50年、80年住んでいく環境に……。

これから新築やリフォームを考える方は、太陽光パネルを載せたZEHではなくても、断熱性能はちゃんと考えていくべきだと思います。
埼玉県は、秩父の一部が4地域で、5地域と6地域からなります。
この表にとらわれず、間取りや窓の大きさ、仕様、断熱材を検討し、UA値0.4をきる程度に出来ればと思います。
また、気密性(C値)もちゃんと考えてつくり、0.5はきりたいと思います。

沸かしたお湯をとっておくのに魔法瓶に入れますか?それともヤカンに入れておきますか?
どちらが長い間お湯が冷めないでしょうか?
UA値0.4というと、魔法瓶と言えます。また、機密が良い家と良くない家では隙間からの漏気で足元が冷えやすくなったりします。
他にもいろいろ良くないことがあります。例えば、窓を開けて(機密を悪くして)エアコンをかけませんよね?

高性能住宅であれば、29日の雪の日でも家の中は快適な温度を保てます。
UA値0.28、C値0.26(完成時)の住宅では、家中ほぼ同じ温度で、リビングでは21℃60%でした。
リビングも廊下も脱衣所も同じように暖かいというのは、ヒートショックにもなりにくく、
体の免疫も向上しますし、とても快適です。

家づくりでは色々と考えることも多いですが、ZEHなど住宅性能も考えて、造っていくべきだと思います。

令和2年 2月

今回は本来の大工職人の仕事とは何なのか?というお話をしたいと思います。

皆さんは「大工さん」と言われたらなにを想像しますか?

のこぎり(鋸)?カンナ(鉋)?ノミ(鑿)?それとも木に墨を打ち穴を掘ったり、仕掛け(仕口)を造ったりですか?

戸建住宅やマンションであれば各部屋、店舗などで木を材料として仕事をしている人を一般的には大工さんと呼んでいますし、
造っている人達も自分は「大工だ」と言うはずです……。

現在日本の建築(※特に住宅)に関しては、それがたとえ木造在来工法だとしても大半はすべて加工済で寸法通りに切られ(カットされて)現場に納品されます。
それは家の柱、梁などの骨組みはもちろん「床の下張り」「屋根の垂木、角木、下地ベニア」「室内のドア枠や窓枠」そして天井下地や壁まで切られていることもあります……。

そして現場で仕事をしている大工さんと言われている人は、それをプラモデルのように番号などを合わせドライバーで組んで取り付けるだけ……。
もちろん、カンナ、ノミなどは使うことはなく、玄翁(トンカチ)すらあまり使う必要がなくなっている状態(ドライバーと釘がロールで入っている鉄砲があれば基本的には充分)
これを大工職人というのでしょうか?
私には解りません……。

それはもちろん現場で一生懸命施工している人達が悪いわけではありません……。
そもそも誰も悪くないと思っています。

仕事といわれる物には、何の仕事でも需要と供給で成り立っているので、現在の住宅に昔(とは言っても少し前までの)大工の手技に対しての価値を望む方(お客さま)が激減していることがすべての要因で、それよりも「安さ」「工期の短さ」「デザイン」「性能面」などに需要が流れるので、そこに追従して住宅が供給されます。
仕方のないことです……。

それでも私も「大工職人」だと自分では思っている1人なので、これだけ凄いスピードで技術が失われていくのを目の当たりにすると、危機感を感じます。
この先、本来の「大工」という職業は絶滅危惧職になることは間違いないでしょう……。それも、思ったよりも早く……。

職人というのは、見伝と口伝が基本になり受け継がれるので、親方が知らない仕事は弟子に伝えられるわけもなく、一度途絶えてしまうと基本的には、二度と戻らないというのが手技です。

そのため、私達40代半ばの大工職人最後の世代(墨付け、刻み、カンナ削り、ノミ掘り、曲尺などを10年以上やった世代。それよりも若い世代はなかなか基礎から教えてもらうことがなくなってしまった世代。)が頑張って少しでも技術維持と向上を考えなければならないと、勝手な使命感を持っています。
そして、三幸住宅の現場では各現場できるだけ、サービスとして大工技術を使う仕事を少しでも入れるようにしています。サービスとしてであれば、お客さまもそれを喜んで望んでいただけます。

ほんの一部ですが、それらはこんな仕事です。

■和室、格天井、廻り縁、きざみ
■竹竿加工
■茶室、入口屋根、刻み、光付け
これができたからと言って、何の自慢にもなりません。そもそも大工であれば当たり前の事……。

しかし、こんな事すらできる大工職人が激減していることは事実です。
少なくとも、ここ川越では技術の全滅を避けられるように、私達三幸住宅だけでも日々努力をしていきます。

令和2年 1月

あらためまして、あけましておめでとうございます。
新年の令和2年最初のお話しは……

人(家族)にとって、家(住まい)とはいったいなんだろう……という話をさせていただきます。

「いまさら?」と思う方も多いかと思います。それも当然。
私もこの業界で28年目になり、いくつもの新築・リフォームをやらせていただきました。

この業界に大工として入って、1年目は1年目の、5年目は5年目の、10年目には10年目の……そして28年目には28年目の(+いまでは社長としても)思い悩むことがあります。
10年目くらいまでの悩みは、ほとんどが技術面やお客さまとの打ち合わせの話し方、伝え方などの自分に向けての悩みでした。

それ以降は、私達施工側の人間は何のために存在しているのか?お客さまが本当に幸せになれる家を造れているのだろうか?などの、自分達が存在しなければならない理由を探し続けている日々のような気がします。

私がこの業界を辞めても、世の中はなにもなかったように家は造り続けられることはわかっています。しかし私達三幸住宅を頼ってきてくれる方々もいます。それが、私達がこの業界で日々闘わなければならない理由のひとつだと思っています。

ひと言で家を造る(新築・リフォーム)といっても、中身は本当に多種多様……
「安いだけ」「デザインだけ」「お客さまの言いなりの間取り」「耐震等級もあまり気にしていない」「省エネ性は解らない」などなど。
もう片方では……
「高性能住宅やパッシブハウスしか造らない」という会社も多くなってきました。

「どれがダメ」とか、「どれでなければいけない」という事は問題ではないと思っていまして、問題は「施工側・設計側がどれだけ勉強をして、思いを持ってお客さまに細かく伝えられるのか」
そして、これから家を建てようとする方々がいろいろ知った上で、自分達の一生のパートナーになるであろう施工業者を決めていく……というのが、一番良い家づくりだという確信はあります。

最近は国も積極的に住宅に対する方針を打ち出してきていますが、この国の対応にはいろいろな思惑があります。
「CO2削減」や「超高齢化社会」による国レベルの不具合(自然災害、エネルギー問題、医療費や介護費の増大などなど色々)が生じているからです。

国が動き出すと、マスメディアもこの類のことを取り上げることも多くなります。
住環境に関しては、週刊文春や週刊新潮などの記事も増えてきています。例えば週刊新潮1月30日号では、

この中では健康と住環境の関係が特集されています。
私も川越レベルでの住宅業者の中では一番勉強しているという自負はありますが、こういった記事の中には必ず新しい情報やデータがあるので、できるだけ吸収するようにしています。

今回は「室内の温度が人の血圧にどれくらい影響をあたえているか?」というデータでした。
簡単に紹介すると……

(高血圧対策治療ガイドラインによる血圧を下げる対策として)
・減塩 ・野菜や魚の摂取 ・減量 ・運動 ・禁煙
などが推奨されているが、もしこのことを気にせず生活しても……
血圧はせいぜい2〜3mmHg上がる程度
たとえば、血圧を下げる薬を飲んでいる人が、薬を飲み忘れても5mmHg上がる程度

しかし……
平均的な生活習慣の80歳男性で、室温が10度下がった環境に身を置くと、10.2mmHg血圧が上がるというデータがありました。

これだけ具体的な数値で比べてみると、一番大切なのはやはり住環境ではないか?とすら思います。
どんなデータを調べても家の性能向上は、人にとって(家族にとって)いいことしかありません……

ただ、ひとつの壁はコストUPです。
このコストをどの様に一般のお客さまに手の届くところまでもっていくかは、私達施工業者・設計者の技量です。

性能は当たり前として、いかに「デザインをよくするか?」「お客さまが望む生活ができるのか?」
日々「考え」「悩み」そして「実践」していますし、私自身もその一環として「家楽くらぶ」などで一般の方向けに家づくりでの最低限守っておきたいことなどをより多く、広く伝えるような活動をしています。
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