「Net Zero Energy House (ネットゼロエネルギーハウス)」の略
住宅の高断熱化と高効率設備により室内環境の質を維持しつつ省エネルギーを実現すると共に、太陽光発電等によりエネルギーを創り、1年間に消費するエネルギーと創るエネルギーを正味(ネット)で概ね「ゼロ」以下とする住宅です。
今まで断熱の基準は1999年に制定された次世代省エネルギー基準があったのですが、2012年に改正され、2021年に改正建築物省エネ法が施行されました。一般の住宅では説明義務となっています。 断熱だけでなく、一次エネルギー(※1)の消費を「基準値」より下がることが明記されました。 ZEHは、この省エネ基準のUA値(※2)よりも高い基準があり、一次エネルギー消費量を基準値よりも20%削減しなくてはいけません。
国の方策では、
・2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建て住宅の半数以上でZEHを実現
・2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現
となっています。
※1 一次エネルギー
石炭・石油・ガス等の自然のエネルギーです。
電気・都市ガスなど、一次エネルギーを変換、加工したものは二次エネルギーといいます。
※2 UA値(外皮平均熱貫流率)
建物内外温度差を1℃とした時、建物内部から外へ逃げる単位時間あたりの熱量を、外皮表面積の合計で除した値です。
住宅の断熱性能を表すもので、数値が小さいほど性能が高くなります。
住宅ローンを35年と考えると、いま建ててローンを半分払いきらないうちに、廻りではZEHの住宅がどんどん建つようになります。
いまでも建てられてはいますが、これから先どんどん、ZEHという高性能の住宅が当たり前に建てられていきます。
住宅は長く住むものです。ではいま、どんな住宅を建てますか?
地域区分 | 1地域 (旭川等) |
2地域 (札幌等) |
3地域 (盛岡等) |
4地域 (仙台等) |
5地域 (つくば等) ※埼玉もここです。 |
6地域 (東京等) |
7地域 (⿅児島等) |
8地域 (那覇等) |
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ZEH基準 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | - |
省エネ基準 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | - |
※2019年11月16日より下記の新地域区分が施工されました。
経過措置として新・旧どちらを使ってもよかったのですが、
2021年4月1日からは新地域区分のみの使用となります。
地域区分 | 1地域 (夕張等) |
2地域 (札幌等) |
3地域 (盛岡等) |
4地域 (石巻等) |
5地域 (川島等) |
6地域 (川越等) |
7地域 (⿅児島等) |
8地域 (那覇等) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ZEH基準 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | - |
省エネ基準 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | - |
三幸住宅では基本的な仕様として、UA値0.6以下になるよう設計・施工しています。間取りや仕様により変わりますが2020年度は0.37が平均でした。一次エネルギー消費量も、住みやすさ、使いやすさを重視して設備器具を選び、基準値以下としています。太陽光発電を必要量のせれば、ZEHとなる性能の家造りをしています。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2025年 | |
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目標 | - | - | 20% | 40% | 60% | 60% | 60% | 60% | 60% |
実績(建築総数) | 3棟 | 3棟 | 0/2棟 (0%) |
1/4棟 (25%) |
1/3棟 (34%) |
2/2棟 (100%) |
3/3棟 (100%) |
1/1棟 (100%) |
■ 考察
デザインやお客様の使いやすい間取りなどを優先し、太陽光パネルはあまり載せられませんでした。
太陽光パネルがないのでZEHにはなっていません。
しかし勿論、断熱性能はZEHより良い仕様です。
太陽光パネルを載せれば、ZEHに出来るのですが、最大量載せるには方角を考えながら片流れ屋根・少なくとも招き屋根にしなければいけません。そうすると、外観もすごく変わりますし、中の間取りにも影響が出てくることがあります。そのため、三幸住宅のZEH実績は上記の様になっています。
ZEH普及の流れの中で、太陽光パネルを実質0円で載せられるお客様に負担の少ない建材もあります。断熱材もメリットデメリットを含め、色々なモノがあります。
それらをお客様が一番メリットの大きいものを選び、快適で健康に良く、おサイフにも優しい家を造っていきたいと思います。また、和風住宅でのZEHの進め方、再生可能エネルギーの導入も考えていかなければいけません。
日本の夏は暑く、冬は寒いです。そのため暖房や冷房をつかい、快適な温度にします。しかし、暖房や冷房を切ったら、どんどん寒くなったり暑くなったりするような家は快適とは言えないですよね。また冬に家の中で、エアコンのある部屋は暖かく、廊下や脱衣所、風呂場は寒いなど温度差が激しいと、ヒートショックになる可能性もあり、快適ではないですよね。
なので、快適な家造りには、家の断熱性能の向上が大事なのです。
断熱性能は、屋根または天井、壁や床に入れる断熱材と、外気に接する窓、ドアの断熱性能により決まってきます。そしてこれらは、一度施工すると簡単には交換しにくいものです。なので、断熱にはこだわって造っていくべきだと考えています。
メーカーが出している断熱材の能力は、メーカーの施工基準通りに施工された場合の数値です。
しかし、壁の中には筋交い、構造用金物、電気ボックス、電気配線などがあります。これらも考慮して施工されていなければ、100%の断熱能力が出せません。
そのために、グラスウール系の断熱材の場合はビニールでパックされているものではなく、むき出しのグラスウールや羊毛断熱(ウールブレス)を使い、構造金物の廻りなどの隙間も詰めています。
硬質発泡ウレタンを使った場合は、外周(断熱部)には筋交いを入れない設計にして、金物部分は、切り欠いたあと、現場で埋めています。
断熱性能が上がると、夏涼しく、冬暖かく過ごせる。エアコンの効きがいいので、冷暖房費が安くなる。
などがありますが、新築の高断熱高気密住宅に引っ越した方を対象としたアンケートで、呼吸器系や皮膚系の疾患を持った方が、引っ越した後に症状が改善されたという調査結果があります。
皆様は、暖房、冷房を付けながら窓を開けていますか?当然、閉めますよね。では、建物の隙間は?
断熱性能を上げても、気密性が高くないとその断熱性能が発揮されません。なので、高性能住宅では、断熱と同時に気密性能も高めなければいけません。高断熱と高気密は、両方大事なのです。
1999年制定の次世代省エネ基準では、北海道や東北の一部以外はC値(※3)5.0以下という基準がありました。北海道や東北の一部では、C値2.0以下とされていました。 それが、2012年制定の改正省エネ基準からは気密の数値は消えてしまいました。しかし、気密性能を気にしなくて良くなったということではありません。
※3 C値(相当隙間面積)
床面積120㎡(約40坪)の時、家全体でこれだけの隙間があることになります。
気密を疎かにすると、断熱性能だけではなく、換気にも影響します。いまの住宅は、設備を使い24時間換気しなくてはいけません。
気密性能の良くない住宅では、吸気口、排気口だけではなく窓や壁の隙間から空気が出入りし、空気の流れが乱れてしまい、ちゃんと計画通りの換気が出来ません。気密性能の良い住宅では、吸排気の空気の流れがスムーズで、住宅全体の空気の入れ換えが出来ます。
和風住宅の特徴のひとつに、深い軒の出というのがあります。下屋の屋根があり、霜除けを付けることもあります。
雨や日光を防ぐ役目もありますが、家のバランスが良くなったりもします。霜除けが付くと、夏の熱い日光を遮り、冬の暖かい日光を入れるのに役立ちます。高性能の家だと、夏に日中窓から入った熱は逃げづらく、冷房費が掛かります。冬は窓からの熱を上手に入れれば、暖房費は少なくなります。
断熱性能だけを考えると、壁よりも窓の方が断熱性能は弱いので、窓は極力小さい方がいいです。しかし三幸住宅は、家具等を考えた上で、各部屋に大きい窓を付けています。そして明るく、風通しの良い部屋にしています。
また、縦すべり窓をウィンドキャッチとしてうまく使い、風を取り込む工夫をしています。