この家は、私達三幸住宅の工事部長の家です。せっかく自分の家を造るならと、私達三幸住宅の技術と経験をこの家に合うかたちですべて盛り込みました。
外観に関しては、置き屋根工法の一部ネズミ返し、壁は左官モルタル塗り、弾性リシン吹き付けの2階建てです。
設計のこだわりとしては、見た目をスッキリと見せながら、重厚感を出せるように意識しています。建築場所が住宅街ということもあり東西南北の斜線があるため、建物の高さ、軒の出を調整するのに苦労しました。
屋根廻りには、垂木、化粧野地、広小舞、破風板に関しては杉、梁は米松を使用しています。
瓦は和瓦純いぶしで、鬼瓦はそもそも魔除けという意味で鬼面という鬼の顔をしたものを使い迫力を出しています。また雨樋は半丸のガルバリウム雨樋シルバーです。霧除けや玄関屋根は銅板を使用しています。
和風住宅は屋根廻りの見た目とバランスで、外観の大半が決まってしまいます。
玄関はお客さまをお迎えする家の顔。ここも見た目をスッキリとしつつ高級感が出るように施工しました。仕上げ材は竹、ケヤキ、杉、檜で施工しています。
その中でもポイントとして、下駄箱というものは置かずに壁収納の中にすべて納めてスッキリさせ、かつ内容量も欲しいので後方のメイン収納の前にスライド収納を設けています。
1階の内装仕上げには無垢材と新建材を併用しています。無垢材には無垢材のメリット・デメリットが、新建材には新建材のメリット・デメリットがあります。この2種類を適材適所で使い分けることによって、使い勝手、コストの両面でそれぞれの良さを最大限に引き出せます。
造り手のこだわりとしては、お客さまの生活が始まってから出来るだけ床に物を置かなくてもいいように、テレビは壁掛け、ビデオなどの家電も壁内に埋め込むようにしています。
階段から2階にかけては無垢材で仕上げました。杉、檜、和紙、漆喰、珪藻土を使い色々な下地で色々な材料を使っています。
構造体の梁などが化粧で見えるようになっているため、金物は極力使わず昔ながらの木組みを使い、どうしても金物を使わざるを得ない場合には、すべてつや消しの黒で塗装をして、お城やお寺にある金物のイメージで仕上げました。
軸材(木組み)の加工はコスト面のこともあり、プレカットと手刻みのハイブリッド工法を用いました。どんなにプレカットの精度が上がっても、手作業による複雑な木組みを再現することはいまのところ不可能であるからです。