社長が現場で日々思うこと

平成29年 11・12月

今月は11月中旬にお引き渡しが完了した物件の紹介をさせていただきます。

私達、三幸住宅が手掛けさせていただく物件に関しては、どの家も一生懸命楽しみながら施工させてもらっています。
その中でもこの住宅に関しては、いつにも増して時間と頭を使いました。

【外部】
土地が変則なため、この土地を有効に活用するには家を30°曲げる必要がありました。
面格子に関しては正面(見付き)の南・東面に木格子を採用。和風住宅の格子というのは防犯という意味だけでなく、意匠的にもかなり有効で、特に夜、室内の照明を付けた時の格子越しのコントラストはとてもきれいです。
現在の住宅は和風住宅といっても、軸組に関してはコストの関係もありプレカットと手刻みのハイブリッド工法を使うことが多いので、大工技術を使うことが少なくなっている中、造り手の私達とすれば大工技術の見せ場(大工技術の維持ということも含めて)も考えながら施工しています。
そういった思いの中、今回の現場は濡れ縁にも少し手間を掛けました。
これは光付けという技術です。光付けという仕事は大工である以上、そんなに自慢できる技術ではなく当然の技術なのですが、いま現在住宅工事ではほぼ使うことがなくなってしまいました。

【玄関】
この住宅のコンセプトは、外観と室内の和室は「和」、室内の和室以外に関しては「古民家」というのがお施主さまのご希望でした。
そこで、玄関も新築古民家のイメージで造りました。
玄関框の式台(上り口の1段のステップ)にはケヤキの古木(推定150年前のもの)を使いました。古木を使うといっても納屋の中にかなりの時間放置してあったため、白部分の腐りと虫喰いが多くそのまま使うことが出来ないため、その部分をところどころ切り落として違うケヤキの赤身と接ぎ合わせて使います。接ぎ合わせた部分は契り埋木(ちぎりうめき)を使って仕上げます。
昔の大工達は家に色々な思いを込めて、仕事にも遊びを入れました。そういった先人達の思いを私も大切にしようと思うので、1つ契り埋木を解らないように蝶にしました。
もうひとつ、この古木には大きな穴が空いてしまっていました。(死節・しにぶし)そこにも埋木を施し、そこは亀の埋木にしました。
亀が向いている方角も南向きにして、この家に住む人々がゆっくり暖かく、穏やかな場所へ進んでもらいたいという願いを込めました。
【LDK】
LDKに関しては約29帖(収納別)、システムキッチンも背中合わせで2台付いていてかなり広めです。LDKも古民家のイメージで造り、腰壁にはスサ・ワラ入りの和紙を採用しました。
【洗面・トイレ】
洗面は開口部の引き戸が開いている状態だと、玄関ホールからすべて見える場所にあります。
このイメージはあえてこの様にしてみせる洗面化粧台を造りました。この家の造作に関してはすべての空間で古民家のイメージを壊さずにお洒落な感じを出すのがすごく難しく、お客さまと何度も打ち合わせをさせていただきました。
洗面化粧台でありながら鏡さえも正面の壁に付けるのはイメージが違うというお施主さまの指示があり、私もここまで拘るならその方がイメージが保てるとの思いから、左側壁面の洗面収納の扉の裏側に鏡を取り付け、扉を開けると鏡が出てくるように造りました。

トイレに関しては、お施主さまがすべてを私に任せると言っていただきました。トイレに手間を掛けて作り込むということは色々な意見がありますが、私の考え方として家族が1日の中で何度も使う、それにこの家に招いたお客さまも使う場所なので、もてなすという意味でも高級感を出すようにしています。「トイレがキレイ」っていいですよね。
【和室】
和室は2間続きになっています。
本来和室は真壁にしたいのですが、いまはどうしても断熱ということを中心に考えるので、お客さまに納得していただければ大壁和室にします。
コスト面も真壁・左官仕上げより大壁クロス仕上げの方が大幅に抑えられるので、この仕上げ方法を採用することも増えてきました。
そうはいっても本来の和室のイメージを損なうことがないように、床の間・仏壇置き場・神棚なども含めて全体のバランスを考えながら造り込んでいきます。
天井の竿縁・落とし掛けは竹を採用しました。竹製品も種類が豊富で少し挙げるだけでも、錆竹・雲紋竹・黒竹・スス竹・トラ竹・真竹・女竹など・・・。こういった竹達を、仕上がったイメージを考えながら選ぶことも造り手の楽しみです。
【建具】
私達三幸住宅の家づくりの基本は、建物全体の意匠はあまりゴチャゴチャさせず、本来の日本家屋の雰囲気を残しつつ、近代的な要素も取り入れるということを大切にしています。
それは建具についても同じです。日中見る建具と夜見る建具、この2つを考えながらイメージしていきます。
玄関前の間仕切り建具は向かって右をドア、左が引き戸という型にして、閉まっている状態では見る人にどのように稼働するか解らないようにし、尚かつ左側の引き戸のデザインもR(湾曲・わんきょく)にしてサイズも高さ2200×幅1200と大型なので、動く壁というイメージになるように造りました。
玄関の土間は、玄関とLDKの前まで続いています。そこを区切る間仕切り戸は建具の上側を障子紙風アクリル板・欄間と下側1列を透明アクリル板にして、閉めた状態でもまだその先に土間の空間が続いているのがわかるようにしました。
【最後に】
最後にお施主さまが自作した室内照明をご紹介してまとめたいと思います。
こういった照明をこの現場で4つも造っていただきました。このレベルのものを自分で造ってしまうお施主さまだからこそ、拘りも強く、私達造り手がお施主さまのイメージに追いつくのが本当に大変でした。
しかしその苦労があったおかげで、結果、三幸住宅としても楽しく納得のいくものが造れました。本当にありがとうございました。

これからも末永くお付き合いよろしくお願いいたします。

有限会社 三幸住宅
代表取締役 新井克典

平成29年 10月

今月は現場仕事の事から少し離れて、川越まつりの事についてお話ししたいと思います。

今年は10月14日(土)、15日(日)に開催されました。
川越まつりは私自身、高校を卒業して大工になった18、19歳の頃から、大工方・鳶職の手伝いとして山車(だし)の運行を行っています。
そんな私も今年は43歳・・・。20数年仕事としてお祭りに参加してきました。基本的にお祭りというのは楽しむために行くもの、遊びに行くものなのですが、私達職人は仕事として行くので、川越まつりに対する感覚が少し違います。

川越まつり自体、日本中のお祭りの中でもひとつの市町村に、このレベルの山車を30基弱もっている様な市町村は少ないでしょう。ひとつひとつの山車の細工、彫刻、漆塗りなどの職人仕事の凄さが目に留まります。
私も職人である以上、その仕事がどれほどのものなのか、よく分かります。

もうひとつ、川越まつりを開催する上で、中心になって山車を操作し、動かしているのが川越の鳶です。一般の方、観光客の皆さまは分からないかと思いますが、鳶なしでは、川越まつりの山車は動きません。
関東の鳶の中でも、川越鳶組合は強い組織力があります。

ここで少し住宅(建物)の話に戻ります。
現在、住宅の基礎は基礎屋さんが造るのが大半で、その基礎屋さんも、元々は鳶職の皆さんです。基礎屋さんと鳶というのは違います。
本当の鳶というのは空中戦(高所作業)にとても強く、住宅を建てる際に(住宅の骨組みを組んでいく仕事「以下、建方」)能力を発揮します。

しかし現在、住宅の骨組みというのはプレカット(工場で機械が一括加工するシステム)が主流になっています。プレカットの場合、骨組みの材料を穴や溝にはめてただ叩けば、すべて収まる様になっています。
このことにより、誰でも家の骨組みを組める様になり、家を造っていく大工としてもスピードこそ最善とされる風潮の中、上棟日に屋根まで終わらせる時代なので、鳶がいるより、そのぶん大工さんが多くいた方が仕事が進むということと、工期短縮という意味の分業制になり、元々の鳶の人達も基礎屋さんに変わっていってしまいます。

日本家屋・和風住宅など、大工が木目、反り具合などを見ながら「墨付け」「手刻み」を行い、複雑な仕掛けを多く使っている住宅では、空中(高所7~8m)で「木をしならせ」たり「四方から仕掛けが入ってくるところなどは完全に納める前に組んでから同時に納める」など、高度な高所作業能力が必要です。
その能力は鳶職人がまだ町火消し(いまの消防士のようなもの)だった頃まで遡(さかのぼ)ります。

町火消しはまず火事場を探すために3間半(約6~7m)もしくは4間(7~8m)のハシゴを建て、その頂上まで上がり、火事場を確認しました。そしていち早く火事場へ向かい「火元はここだ」ということを示すために屋根の上で纏(まとい)をまわす。その時に火の粉が体に着くのを防ぐために、纏の革製のひだがクルクルと体の周りをまわります。
昔の鳶達は命をかけて火事場へ向かって町を火事から守ってきました。その命がけの空中戦(高所作業)の能力を受け継いでいるのが現代の鳶です。
そしてそこに木遣り歌(きやりうた)などの伝統も受け継いでいるのが川越鳶です。

その中のひとりが、私の同級生で幼なじみでもある、三幸住宅の建物すべての基礎工事を任せている鳶です。
伝統的な家造りをベースにしている私達の建物の基礎を、梯子乗り(はしごのり)も、纏(まとい)振りも、木遣り歌もすべてこなせる鳶職人に担ってもらっているというのは、私の誇りでもあります。

平成29年 9月

今月は私自身が、お客さまとの打ち合わせの中で最近感じていることについてお話ししたいと思います。

建設業者(リフォーム業者も含め)が数え切れないほどある中で、私達三幸住宅のホームページに目をとめていただき、連絡してくださいお客さまの内容はこの様なものです。

  • 数社に見積をお願いしたのだけれど、予算が合わないと言われてしまって・・・。それでもどうしても和風住宅が欲しい。
  • 数社に平面、立面のプランニングをお願いしたのだけれど、自分達の理想としているようなプランがまとまらない・・・。
  • 木を多く使ったリフォームがしたい。
  • LDKから庭にかけての雰囲気を落ち着く「和」にしたい。

など

これらの中には基本的に先に他社との打ち合わせに時間を掛けてしまい、見積もすべて出ていて、後は契約するだけ、に近い状態になっているものもあります。
その場合は、業者側との話がそこまで進んでいても、なにか腑に落ちない部分を抱えていて「最後にもう一社だけ話を聞いてみよう・・・」といった思いで私達三幸住宅の所へやってきていただけます。
しかしそこで私達が加わった場合、「このお客さまを余計迷って疲れさせてしまうだけかな・・・」と判断した場合には、こちらからお断りさせていただく事もあります。
また、迷っている理由に納得がいかなければ、一から提案させていただく事もあります。
これは、お客さまも私達もかなりの時間と労力を使い、「お互い本気でやらなければならないこと」という理由から、お客さまへの礼儀だと考えています。
どちらにせよ、和風住宅、和風デザインの最後の砦という役割を担っている事だと、自分達なりに理解しています。

その様な時に私達三幸住宅が一番頭を痛めるところが、「とにかく時間がない」ということです。
すでに他社で1ヶ月~数ヶ月の打ち合わせなどに時間を使ってしまっている状況で、上棟日や引越日(入居日)などがお客さまの中でおおよそのイメージとして決まっているので、充分な提案をする時間が足りなく夜通し考えて、なんとか提案が出来る状態までもっていきます。
それも私達のような、造り込むことに重きを置いている小さな会社では仕方がないのかな・・・とも思います。
それは、お客さま(一般の方々)の気持ちの中で、ハウスメーカーや住宅展示場をもっている様な会社に「まずは話を聞いてみる」という気持ちはよく分かるからです。

でも、その様な中で私達三幸住宅としての「本当の役割」「出来ること」「しなければいけないこと」をもう一度冷静に考えます・・・。
新築ともなれば、2,000万以上のお金をいただいて家を造るわけですから、その責任というものはどうすれば果たせるのか?

私なりにその答えは出ています。
それは「コストを抑えること」でも、「工期を早めること」でもなく、これから35年のローンを抱えて生活をしていて、その先40年、50年、それよりずっと住んでいく家造りを任されているわけですから、とにかくお客さまの家造りのイメージ(頭の中)に入っていって、ひとつひとつ話をする時間を多く持つということ。それは設計段階はもちろん、一番はその場その場でのコミュニケーションの時間をできるだけ増やすという事だと思います。

大きな会社では現場でひとつひとつということは「予算的にも」「時間的にも」かなり難しいことだと思いますが、私達の様な大工工務店の形態をとっている会社で、各大工棟梁がすべて監理している会社だからこそ、出来ることだと思っています。

こういった提案と、家造りの思いを提案した上で、「コストが安い・高い」「工期が間に合う・間に合わない」という判断を、お客さまにしていただければいいといまは思っています。

平成29年 8月

今月は現在施工中の新築物件のお話をします。
この住宅は4月の上旬に上棟した、日本家屋です。前にも少しご紹介したのですが、土地の関係上30°で家が曲がっていて、1階と2階の切り妻屋根の勾配を変えることで、人の立ち位置で家の見え方がいろいろ変わるのが見どころです。
上棟をして外部を完全に終わらせるまで2ヶ月半、やっと室内造作に入っています。
室内の造作ですが和室、広縁以外は、お客さまのご希望で古民家風でとめることになります。
お引き渡しは10月末くらいの予定なので、私達も完成を楽しみに、日々造っていきたいと思います。

平成29年 7月

今月は家づくり学校発行の雑誌「川越で家を造る」についてお話しします。
7月18日に「川越で家を造る」が東上線沿線の書店で発売になりました。
家づくり学校については、5月にこちらで書いたのですが、とうとう今月、雑誌が店頭に並びました。
もちろん私達、三幸住宅は掲載工務店のひとつなので、すでにすべて目を通しました。
この「川越で家を造る」に掲載されている業者さんは、どこも自分達の強みを生かした住宅を、日々努力し、お客さまのために良いものを提案しようとがんばっている会社ばかり・・・。そんな皆さまと肩を並べて、この本に掲載されるのはありがたいことです。

しかし、私達の目的は自分の会社が本で紹介され、そこで皆さまに見ていただく事ではありません。
自分の家にこだわりをもった人達が、そのこだわりを叶えてくれるパートナー(工務店)に、いかに早く、効率よく出会えるか、そしてその手助けが出来れば、そんな気持ちを込めた本になっています。
これから三幸住宅が施工する、しないは別として、色々な「人々」、そして「ご家族」と家に対する熱い話を出来るのが、とても楽しみです。

平成29年 6月

今月は「家は図面上(紙の上)で造るものではなく、現場で造るもの」というお話をします。

家を新築するにあたり、まず平面図(間取り)を起こします。
平面図は、家族構成・生活スタイル・収納量・動線・家の向き・予算などで決めていきます。
これは家を建てようとする土地・近隣状況が同じで、お客様の要望が同じであれば、どの建築会社・設計士が図面を書いても基本的には部屋の配置は同じようになります。
これが家づくりの第一段階・・・つぎに、一般的にはここから各部屋の展開図に入ります。
展開図では「コンセント・スイッチの位置、カウンターの高さ、収納のレイアウト、その他細かい部分」を各部屋ごとに、東西南北で書いてお客様に説明をしながら決めていくと思います。

でもここで、1つ問題があります。細かい寸法を図面上でいくら説明しても、お客様の頭の中でイメージ出来ない事は良くあります。
私達大工でも、図面のイメージと現場で実際造ろうとした時の感覚に誤差が出てしまう時があります。
これから家が出来上がり、20年、30年、そして40年と住む家だからこそ、こういった使い勝手の良し悪しを大切にして造ってあげるのが、私たちの仕事です。

例えば床(FL)~800上がりの高さにカウンター造ったとします。同じ高さでも、身長180㎝の人と150㎝の人ではまるっきり使い勝手は変わります。
これは極端な例かもしれませんが、家づくりをしていく上では少なくともどこの現場でも起こっていることです。

だからこそ私達は仕上がってから
「やっぱりもう少し高いほうが良かった・・・、低いほうが良かった・・・」
「もう少し右が良かった・・・、左が良かった・・・」
という事の無い様に、工事中もう一手間、二手間、掛けてあげるだけで凄く良くなるという部分は現場で提案します。そして、お客様に喜んでいただく。
これが、私達の仕事でできるお客様本位の仕事だと思います。

家づくりは、人と人が、ひとつひとつ話をして造る・・・これが本当の意味での注文住宅だと思います。

ただし、この造り方は建築会社(施工業者)にとってはかなりのリスクです。
実際には無理といっても良いでしょう・・・。

一般的には、ハウスメーカーや地域ビルダーといった施工会社がするのはお客様との契約を終えること。そしてその物件の仕事は、現場監督を中心に各下請けが造って行きます。
大工さんもその下請けの一人、一軒の家を「坪(○○万円)×坪数」というかたちで仕事を請け負います。
この場合、大工さんは家を図面通りに造るのが仕事で、施工の途中で毎回お客様と話し合って造っていては仕事が進みません。
そして何より、現場の大工さんがお客様と勝手に打ち合わせをすることなど、予算もある事なので絶対に出来ません。
これはどの職人さん(電気屋さん・左官屋さん・内装屋さんなど)も同じです。

そのため、上棟前の契約段階で全ての仕様を決めていなければなりません。
それを上棟してから決めることが多いとその都度変更になり、時にはお客様が迷ってしまい「少し時間を下さい・・・」という事にもなります。
そうなってしまうと職人達は仕事にならないからです。

現場監督も一人で複数の現場を見ているので、一つの家だけに付きっ切りというわけにも行きません。これは一度に多くの家造りをこなすシステム上、仕方のないことです。

「でも、家造りは本当にそれで良いのか?」という疑問は、いつも私の頭の中にはあります。
そんな私達の現場でも変更、変更が続くと手間はどんどん掛かります・・・。
そこで、追加料金をかけずにどの様に対応していくかというと、それは簡単なことで、1日の仕事をあと30分、1時間多くしてあげれば良いだけです。

お客様も人間です。職人達の頑張りを、気配りを、ずっと見ていただけています。
家づくりという仕事は、人と人が1つものを話し合いながら手造りしていくもの・・・。
予算内という事はすごく大切な事、でもそれと同じぐらい建築中も気持ち良く、住んでからも気持ち良い家づくりを、私達はいつも心掛けています。

平成29年 5月

今月は、家づくり学校の話をしたいと思います。
「家づくり学校?なにそれ?」この名前を聞いて。ほぼ全ての人がそう思うでしょう・・・。それもそのはず、関東では耳にするはずのない名前です。

この学校は四国地方を中心に運営されている学校で、四国や中国地方の一部ではかなりの認知度だそうです。
その学校の関東地方1号店が、4月に川越に開校しました。(家づくり学校 川越校

この学校のシステムを簡単に説明すると、
「ハウスメーカーで家を造るのはどうも違う・・・」
「自分達が住みたい家をもっと自由に、よく知った上で造りたい・・・でも自分達が望んでいるような家を造るにはどこの住宅会社に相談したら良いかホームページを探してもなかなかたどり着くのが難しい・・・」
そんな人々が訪れて、家の事を勉強しながら、アドバイザー(家づくり学校スタッフ)がそのお客様の希望を叶えてくれそうな住宅会社を何社か選んで紹介してくれるというものです。

この話しを聞いた時に、私達も「なるほど・・・今まで有りそうで無かった、画期的なシステムだな。」と思いました。
そんな時に家づくり学校の方から、学校の趣旨に合っていて加入してくれる工務店を探しているのですが是非加入してくれないかとの打診をいただき、「家づくり学校 川越」のオープニング工務店の1社として、名前を連ねる事になりました。

学校では、私も講師として呼んで頂く事もあるようですので、私自身もこの業界が抱えている、公にはなかなか話すことのできない「本当の(本音)話」が皆様にお伝えできる機会が有りそうで楽しみにしています。

私の予想では、この家づくり学校はあと5年、10年経つと関東全体に広がっていくと思います・・・。
こういった学校が増えていく事で、「家は三度建てないと本当に納得できる物は出来ない」と言う話は過去のものとなり、人生最初家造りで最大限納得できるものが造れる可能性が広がると思います。

今後この学校がどの様に成長していくか、私達三幸住宅としても楽しみですので、またこの話に関しては、機会をみながらお話ししていこうと思います。

※ちなみに・・・
この学校の雑誌も発売されます。
「家づくり学校 川越で家を建てる」が7月18日(予定)で各書店に並ぶと思います。
ご興味があれば、是非どうぞ。

平成29年 4月

今月は、これから上棟する新築住宅の話をしたいと思います。

この4月7・8日で上棟するのは、東松山市で純和風住宅の60坪を超える家です。
この家の見せ場、ポイントの1つは「家が30°に曲がっている」ところです。一般的には、家が曲がる部分というのは90°でなければ木組みの接合部分や屋根の谷木(隅木)など家を造るうえで大変です・・・
しかしどの家でも、四角い家やL型の家がその建築予定地に対してベストという事はあり得ません。その土地の有効活用(最大限無駄なく使う)という意味でも、家の陽当り・動線という意味でも、土地に合わせて家を造るのが良いと考えています。
今回は「純和風住宅」という点からも、30°曲げるという事は意匠的にもかなり有効だと考えて、この提案を致しました。
お客様も家を新築することに対してこだわりの強い方で、半年間色々な打ち合わせをさせてもらいプランニング・仕様を決めていきました。

本格和風住宅で30°曲げるという事は、技術的にも一定以上の技術が必要になるので、出来る人が限られてきます。
一般的には大工さんというと「家を造る人」で、みんな同じに見えるでしょう・・・。しかし、中身はひとそれぞれ全然違います。もっと言ってしまえば、近頃の大工職人達は、鑿(ノミ)・鉋(カンナ)さえまともに研げない職人達が急速に増えてしまっています。
それでも家造り人(大工)として生きる道があるのが今の世の中なので、それはそれで良いと思います。
しかし、私自身「一人の大工職人」として考えたときに、これだけ急速に職人の技術が失われてきている事実に「本当にこれで良いのか・・・」という想いが強くあります。

だからこそ、私達だけでも「家大工」として、お客様が望む家の姿をできるだけコストを掛けずに提供出来る様に、日々自分達も楽しみながら一生懸命施工出来たら良いな・・・と考えております。

平成29年 3月

今月は、今ちょうどお仕事させて頂いている物件のお話をします。
川越には、有名なお寺や神社が幾つかあります。
私達も住宅の仕事をさせてもらいながら、こういったお寺や神社などの改修工事なども、お手伝いさせて頂いています。
自分も川越に住み、川越に会社が在るものとすれば、こういったお仕事をさせて頂けるのは本当にありがたい事でもあり、誇りでもあります。

あくまでも私達は日本建築の住宅大工職人なので、宮大工とは違います。
お寺の本堂の新築工事以外は、日本建築の大工技術で十分対応できます。これは、今から30年・40年前までの大工と言われる人々なら、基本的にはみんな出来た事だと思います。

しかし・・・近年の住宅業界の流れの中で、内装・外装と、全て工場で加工済みの物を組み立てるだけの仕事になってしまい、尺金(さしがね)・玄翁(玄翁)・手鋸(てのこ)すら使わない大工が急激に増えてしまい、技術はすごいスピードで衰退しているのも事実。
そんな中、私達だけでも手仕事の技術を維持しながら、性能の高い住宅を造って行きたいと言う強い思いがあります。
こういう事からも、昔の大工職人達の木組みの仕事を見ることが出来るこういった現場は大変貴重です。

これからもこういった仕事が頂けるならば、先人たちの技術を盗み見ながら、現代の日本家屋に活かせていければ良いと思います。

平成29年 2月

おかげさまで、私達三幸住宅は今年で30周年を迎えます。
ホームページも初めてUPさせて頂いてから早9年目、4度目の全面リニューアルになります。

営業も現場監督もいない我社ですが、大工職人たちが物造り屋としてただ一つ一つを丁寧に仕上げて自分達もそれを楽しむという事を常に心がけ、年間数棟の新築工事と数十軒のリフォーム工事をさせて頂き、本当に感謝、感謝です。

これからも大工職人会社というプライドを忘れず、住宅工事の棟数をこなすのでは無く、任された仕事を一棟一軒ずつ大切に楽しみながら、前に進んでいこうと思っています。
これは私だけの思いではなく、三幸住宅の大工職人全員の、共通の思いです。

これから毎月(代表取締役 兼 大工職人の)私にしか感じられないであろう現場での事、思いを書いていこうと思います。
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