江戸町屋の家

【住宅スペック】

UA値 0.4 W/m2K
Q値 1.39 W/m2K
C値 0.16 cm2/m2(中間測定時)
  0.32 cm2/m2(竣工時)
ηAH 2.0
ηAC 1.2

■設計コンセプト

だんな様と息子さんの二人住まいという条件で基本性能を高性能化し、家の中で竹細工のアトリエも含める。
そこに和室と広縁を設けてワンルーム設計にしつつ、温湿度環境も整える。
これからの生活をできるだけイメージし、本当に欲しいもの(必要なもの)、用が足りれば良いものをハッキリさせ、コストダウンに繋げる。
外観は江戸町屋を再現したデザインにしつつ、温熱環境にも配慮した窓配置、動線や機能面も十分に考慮しデザインに溶け込ませる。
その中で耐震等級3と制震性能も装備する……。
ということを最低条件として実施設計を開始しました。

それでは最初の入口、木格子戸を開けて中に入ってみましょう……
格子戸を入ると、半外の土間スペースへの玄関へのアプローチ。
ここは竹細工の作業スペース兼用となり、左側突き当たりには手造りした作品を入れる間接照明付きショーケースがあります。
逆側(右側突き当たり)には、多用途に使える収納があります。
格子戸の横(左側の壁)には木製(現場施工)のポストと宅配BOXをこの家全体のイメージを損なわないように配置し、
玄関の外照明も手造りしました。(イメージは隠れ家的高級割烹の入口)
玄関を入ると、約7畳の土間スペース……
ここが竹細工の作業スペース(アトリエ)となります。
土間とリビングを一体化し、住宅でそこまで広さがとれないスペースをできるだけ広く見せるようにし、室内の床高さと土間の仕上がり高さの差をあえて370mm程度に設定し、和室の畳が竹細工作業中の腰掛けになるようにしています。
室内側、この家一番のこだわり……リビングです。
コンセプトは囲炉裏のある和室リビング。
夜になると外からも格子越しにチラチラ見ることが出来て、「この家は何なんだろう?」と思わせる雰囲気をもたせるようにしました。
火棚、自在鉤、テーブルも含めて、現場でお客さまとお互い納得がいくまで話をしました。
本物の囲炉裏とはいきませんが、できるだけ本物感を出すために試行錯誤して造りました。
特に自在鉤に照明を融合させたデザインは本当に苦労しました。
※ちなみに、この自在鉤はお客さま作……本当に上下スライドできる自在鉤となっています。(素材:竹、ケヤキ、シュロ縄)
アングルを変えて……
広縁も含めて、1階の造作材は基本的にすべて桧です。
キッチンとトイレ……
特にキッチンに関しては、この家の基本的な考え方の象徴で、「煮炊きができればよい」ということでできるだけシンプルにしました。
三幸住宅の空調(エアコン)の基本的なセット位置は脱衣をメインに考えます。
このようにできないプランニングもありますが、夏冬共に住環境を有利にして、デザイン的にもエアコンの姿をできるだけ消すことができます。
浴室(脱衣)を使っていて、入口の建具が閉まった状態でもエアコンが機能するように、欄間などの開口スペース(オープンな部分)をより多く設定します。
階段を上がって2階に来ました。
木格子から朝日が入り、格子の影が浮かびます……。これもまた、雰囲気のあるものです。

最後に、照明に火が灯ったときの雰囲気です。
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数寄屋風 錣(しころ)屋根の家

数寄屋風 錣(しころ)屋根の家
基本性能
UA値 0.33
Q値 1.18
C値 0.28(竣工時)

ηAC 1.3
ηAH 1.2

【設計コンセプト】

このお客さまは大変目が肥えていらっしゃる方で、三幸住宅が手掛けた物件のことはよくご存じです。

そこでお客さまから
「三幸住宅さんがいままであまり施工例のないもの、人と違うもの、で外観全体をデザインしてほしい。」
というご要望を頂きました。

和風住宅は屋根形状と軒の出設定、矩計(カナバカリ)で外観のデザイン性(美しさ)が8割以上決まってしまいます。

そうは言っても、屋根形状に関しては「入母屋」「寄せ棟」「切り妻」「起り(むくり)」「反り(そり)」「照り(てり)」すべてやり尽くした感じがあり、その中でどうやってお客さまの要望に応えようか?と最初は思いました。
しかし結論が出るまではあまり時間が掛からず、私がずっと「いつかこういうデザインもやってみたいな……」と思っていたイメージにうまくハマりそうだったので、数寄屋風 錣(しころ)屋根で行こうと思い、お客さまに提案しました。
そして、お客さまにもこの提案を喜んで受け入れていただき、スタートしました。

※錣とは……
※1 錣とは、兜 (かぶと) の鉢の左右・後方につけて垂らし、首から襟の防御とするもの。多くは札 (さね) または鉄板を三段ないし五段下りとしておどしつける。

※2 錣葺きとは、兜の錣の様に屋根の流れ面が途中で屋根勾配が一段下がり全体として2段となっている屋根の葺き方をいう。切妻に4方向に葺き下ろしの屋根を廻したものや、寄棟の4方向に廻したものもある。

これで外観のデザインベースは決まりました。しかし、一番大切なこの建物のメインコンセプトを決める必要があったのですが、耐震性能や断熱性能などはもう当たり前として、もっともっと深い部分……この家だけの意味を持たせたい……と考えていたとき、私の目に入ってきたのが、こちらの写真右側のFIX窓奥に見えている竹林でした。
この竹林に花が咲いたのです…。

竹は種類によっても少し異なる様ですが、60年から100年に一度花を咲かせると言われています。
竹に花が咲くとその竹林はすべて枯れ、その場所でまた新しく群生する準備に入るということが、ちょうど既存の建物を解体する時期と重なり、「一時代の終焉」と「新たな時代の始まり」というイメージがピッタリ合ったので、この家全体の設(しつら)えを竹で行こうと思いました。

※竹の花言葉
日本語:「節度」「節度のある」
英語:「強さ」「不動」

このような始まりで造り終えた、数寄屋風 錣屋根の家……。
それでは、中に入ってみましょう。

玄関を入ると、正面にこんなデザインがあります。
これは昔、特に茶室などによく用いられた「下地窓」を模した組子です。
この家全体の仕上げ色味は、昔からある自然色(墨色、朱色、藍色、い草色、竹色)でまとめ、色数はある程度多いのですが、少しでも自然に映えるようにしました。

玄関を入って左手を見ると、このようになります。
上り框の上は化粧屋根を掛け、門のように見せました。
これを見たときに、この家を訪れた方が「この先はどうなっているのだろう?」とワクワクしていただけるようなイメージで造りました。

室内に入ると、畳敷きの広縁になります。
天井や壁に照明器具は付けず、天井の角(建具の上)に造作照明カバーを施工しました。
これもアイデアのひとつですが、竹垣の大津垣というものを模して、ワーロン(アクリル板)を細く切り、大工が竹の柱間に編み込みました。

九四(きゅうし、9尺4枚建て建具)の障子を開けると、8帖の本格和室になります。
私室を背にして外を「チラ見ッ!!」こういうアングルが「The Nippon」

次に、和室です……
ある程度大きい住宅になると、2間続きの和室も多いですが、お客さまの方から仏壇付きの和室1間で充分との要望があったので、8畳1間を設えました。

様式に関しては一般的な和風ですが、お客さまのリクエストにより私自身(先代から)の十八番、四方尺五寸升組みに竿縁目透し天井を手造りしました。

それに総ケヤキ、間口6尺の仏壇(バランスにかなり苦労しました……)と竹を使った座卓も三幸住宅手造り商品です。

もう一度玄関に戻ります。
玄関右手は、このようになっています。

このお宅は来客が多いため、訪れた方に気軽に上がってもらうためのスペースになります。
先程も説明しましたが、正面やや右にある大きなFIXサッシの先には竹林が見え、そのサッシ左(室内)に竹のオブジェ(無垢加工竹)、さらに左(キッチンへ入る入口建具)には竹の切り絵をはめ込んだ建具があります。
こうすることにより、外と中の空間がひとつになるように設計して、この家を訪れた方々にも少しでもリラックスできる居心地のいい場所になっていただけたらと思います。

FIX側から見るとこのようになっており

正面に見えるのが茶室となります。
そもそもこの空間は、室内ですが屋外のイメージで造ったので、茶室とその向かいの待合というデザインになっています。

この空間を広縁から見た様子です。

そして茶室の「にじり口」を模した建具を開けると、このような感じになります。
この茶室はできるだけコストを抑えて、本物をできるだけ忠実に再現することに苦労しました。

室内側から見た様子はこうなります。
この空間は8帖の和室とも繋がっているため、使い勝手、動線的にもよくなっています。

夜「にじり口」から待合を見た様子です。

次はお客さま用トイレです。
三幸住宅としてもトイレ(特に、この家にいらっしゃるお客さまも使うトイレ)のデザインには、頭と時間を使います。

時間は掛けますが「コストは掛けない」というのが拘りで、アイデア先行でデザインします。
ちなみに、この手洗いカウンターは建て替え前の和室で使われていた座卓を再加工したもの(ブビンガ材)

ここからはプライベートゾーンの紹介です。
プライベートゾーンに関しては、三幸住宅標準仕様になっており、造り付け家具を豊富に設えたシンプルな造作になります。

■LDK

■寝室

■脱衣

1)夜、照明が灯った様子の写真の一部

ポイント
・照明に灯が入ると、また少し違った雰囲気になる

2)こだわり部位の詳細写真の一部

ポイント
・建具の切り絵は、下絵は私(新井)が描き、切り抜きは、三幸住宅のお得意さま(お客さま)に切り絵が趣味の方がいらして、その方に手伝って頂きました。
・化粧屋根は3つ、すべて違う仕上げにしました。

3)外部・庭の写真の一部

ポイント
・ポストと宅配BOX(上下2連仕様)はこの家に合わせて造作
・庭に使った材料で買ったものは、枝垂れモミジと白砂利だけ……。その他はほぼ、この家に前からあったもの
 (※土に半分埋まっていたような、いつからあったかも分からないもので、材料費はほぼゼロ)

1)夜、照明が灯った様子

2)こだわり部位

3)外部・庭

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住宅街に建つ町屋風住宅

■外観

 基本は総2階。総2階は土地が狭い場所でできるだけ部屋数を増すのに有効なのと、家の性能計算をする時にも有利になるのですが、デザイン的に変化がつけづらいので、その部分をどうするかがポイントです。
それと写真左側の屋根(西側屋根)の部分が斜線により、型を「への字」にする必要があったので、このデザイン処理をどうするか?
 もうひとつ、隣地境界もギリギリのため、軒の出も思ったように出せない・・・。和風住宅の見た目では一般住宅と比べてより「軒の出」「妻の出」が大切なので、このデザイン処理をどうするか?
これらが重要な問題でした。
 斜線や境界線がある以上仕方のないことなのですが、見た目でバランスが崩れたように見せない工夫が大切・・・。見た人が何の違和感も感じないようにする、造り手のテクニックが必要です。
 屋根の仕上げは、コストを抑えるために上屋(2階屋根)はガルバリウム、下屋には和瓦(本いぶし)を採用。お客さまは「どうしても瓦が良い」とおっしゃっていたのですが、「見えない(見えづらい)部分はコストを抑えた方が良い。見た人がガルバリウムと気付かないようにできます。」と説明し、納得して頂きました。
上屋をガルバリウム鋼板葺きにするのですが、棟だけを瓦で積み上げ、正面から見た時に上屋、棟の鬼瓦だけが見えるように工夫して、下屋をすべて瓦葺きにしました。これならば誰が見てもすべてが瓦葺きと見える。自信がありました。
 また北側すべてと東側の窓の一部に木の面格子を使うことで、町屋の雰囲気と豪華さを演出し、目隠し効果でプライバシーも守れるようにしました。北側のため、昼間の太陽の熱取得を妨げても、あまり室内環境が影響を受けないと判断しました。

■玄関ホール

 玄関を開けると、この様な雰囲気になります。
意匠設計での考え方としていつも私が気を付けていることのひとつに、空間の統一性があります。例えば同じ空間なのに、入り口のドアや収納を見ただけで、(開けなくても)「ここはトイレだな・・・」「ここか脱衣所か・・・」「これは下駄箱でしょ」などと解せないようにデザインする、ということです。
床には畳調の素材、建具はすべて障子風にすることで、和の統一感を出して、まるで和室の中に入ったかの様にデザインしています。
 階段も同じく、できるだけ同一空間にあることの違和感のないように、手すりひとつの細かい部分にも少しずつ手間を掛けます。

■LDK

 LDKに関しては、コスト面もあるので、新建材と無垢材の併用でまとめました。
大きい一間の空間なので、デザインが単調になってしまわないように東面の窓の障子を少し違った色を使ったデザインにしました。
 このデザインにもちゃんと意味がありまして、お客さまのお名前が太陽の方向をイメージさせるお名前だったのと、東から陽(太陽)が昇るということから、朝日が昇ってくるように、この家族がこれから暖かい関係でどんどん高く昇ってくれれば良いなという造り手の思いを反映させました。

■ダイニングテーブル

 お客さまのリクエストでダイニングテーブルを造りました。
材種は「竹」と「桧」と「カリン」です。大工がこういった物を造ると家具量販店でダイニングテーブルを買うより少し高くなってしまいますが、テーブルの高さ、幅、長さもミリメートル単位までフルオーダーできるので、価値は十分あると思います。
 テーブル面には竹の枝を編んだもの、天板の側板部分と足元にカリン材の赤紫色を使うことによって、高級感とおしゃれ感を出しました。

■夜景

 夜、すべての照明を灯すとこの様になります。
意匠的には、夜にこの建物がどう映るのかイメージすることも大切です。

■最後に・・・~お客さまへ~

 この現場は、私達の会社から車で1時間~1時間20分程度・・・。現場としては少し遠いという条件でした。
お打ち合わせも思ったより時間が掛かり大変でしたが、Hさまの家に対する思いを少しでも多く実現してあげたいと造り手一同一生懸命頑張りました。
おかげさまで、私達造り手も自信を持って引き渡すことが出来る建物に仕上げられて本当に嬉しく思っています。
これから一生のおつき合いになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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30°曲がった家

私達、三幸住宅が手掛けさせていただく物件に関しては、どの家も一生懸命楽しみながら施工させてもらっています。
その中でもこの住宅に関しては、いつにも増して時間と頭を使いました。

【外部】
土地が変則なため、この土地を有効に活用するには家を30°曲げる必要がありました。

面格子に関しては正面(見付き)の南・東面に木格子を採用。和風住宅の格子というのは防犯という意味だけでなく、意匠的にもかなり有効で、特に夜、室内の照明を付けた時の格子越しのコントラストはとてもきれいです。
現在の住宅は和風住宅といっても、軸組に関してはコストの関係もありプレカットと手刻みのハイブリッド工法を使うことが多いので、大工技術を使うことが少なくなっている中、造り手の私達とすれば大工技術の見せ場(大工技術の維持ということも含めて)も考えながら施工しています。
そういった思いの中、今回の現場は濡れ縁にも少し手間を掛けました。
これは光付けという技術です。光付けという仕事は大工である以上、そんなに自慢できる技術ではなく当然の技術なのですが、いま現在住宅工事ではほぼ使うことがなくなってしまいました。

【玄関】
この住宅のコンセプトは、外観と室内の和室は「和」、室内の和室以外に関しては「古民家」というのがお施主さまのご希望でした。
そこで、玄関も新築古民家のイメージで造りました。
玄関框の式台(上り口の1段のステップ)にはケヤキの古木(推定150年前のもの)を使いました。古木を使うといっても納屋の中にかなりの時間放置してあったため、白部分の腐りと虫喰いが多くそのまま使うことが出来ないため、その部分をところどころ切り落として違うケヤキの赤身と接ぎ合わせて使います。接ぎ合わせた部分は契り埋木(ちぎりうめき)を使って仕上げます。
昔の大工達は家に色々な思いを込めて、仕事にも遊びを入れました。そういった先人達の思いを私も大切にしようと思うので、1つ契り埋木を解らないように蝶にしました。
もうひとつ、この古木には大きな穴が空いてしまっていました。(死節・しにぶし)そこにも埋木を施し、そこは亀の埋木にしました。
亀が向いている方角も南向きにして、この家に住む人々がゆっくり暖かく、穏やかな場所へ進んでもらいたいという願いを込めました。
【LDK】
LDKに関しては約29帖(収納別)、システムキッチンも背中合わせで2台付いていてかなり広めです。LDKも古民家のイメージで造り、腰壁にはスサ・ワラ入りの和紙を採用しました。
【洗面・トイレ】
洗面は開口部の引き戸が開いている状態だと、玄関ホールからすべて見える場所にあります。
このイメージはあえてこの様にしてみせる洗面化粧台を造りました。この家の造作に関してはすべての空間で古民家のイメージを壊さずにお洒落な感じを出すのがすごく難しく、お客さまと何度も打ち合わせをさせていただきました。
洗面化粧台でありながら鏡さえも正面の壁に付けるのはイメージが違うというお施主さまの指示があり、私もここまで拘るならその方がイメージが保てるとの思いから、左側壁面の洗面収納の扉の裏側に鏡を取り付け、扉を開けると鏡が出てくるように造りました。

トイレに関しては、お施主さまがすべてを私に任せると言っていただきました。トイレに手間を掛けて作り込むということは色々な意見がありますが、私の考え方として家族が1日の中で何度も使う、それにこの家に招いたお客さまも使う場所なので、もてなすという意味でも高級感を出すようにしています。「トイレがキレイ」っていいですよね。
【和室】
和室は2間続きになっています。
本来和室は真壁にしたいのですが、いまはどうしても断熱ということを中心に考えるので、お客さまに納得していただければ大壁和室にします。
コスト面も真壁・左官仕上げより大壁クロス仕上げの方が大幅に抑えられるので、この仕上げ方法を採用することも増えてきました。
そうはいっても本来の和室のイメージを損なうことがないように、床の間・仏壇置き場・神棚なども含めて全体のバランスを考えながら造り込んでいきます。
天井の竿縁・落とし掛けは竹を採用しました。竹製品も種類が豊富で少し挙げるだけでも、錆竹・雲紋竹・黒竹・スス竹・トラ竹・真竹・女竹など・・・。こういった竹達を、仕上がったイメージを考えながら選ぶことも造り手の楽しみです。
【建具】
私達三幸住宅の家づくりの基本は、建物全体の意匠はあまりゴチャゴチャさせず、本来の日本家屋の雰囲気を残しつつ、近代的な要素も取り入れるということを大切にしています。
それは建具についても同じです。日中見る建具と夜見る建具、この2つを考えながらイメージしていきます。
玄関前の間仕切り建具は向かって右をドア、左が引き戸という型にして、閉まっている状態では見る人にどのように稼働するか解らないようにし、尚かつ左側の引き戸のデザインもR(湾曲・わんきょく)にしてサイズも高さ2200×幅1200と大型なので、動く壁というイメージになるように造りました。
玄関の土間は、玄関とLDKの前まで続いています。そこを区切る間仕切り戸は建具の上側を障子紙風アクリル板・欄間と下側1列を透明アクリル板にして、閉めた状態でもまだその先に土間の空間が続いているのがわかるようにしました。
【最後に】
最後にお施主さまが自作した室内照明をご紹介してまとめたいと思います。
こういった照明をこの現場で4つも造っていただきました。このレベルのものを自分で造ってしまうお施主さまだからこそ、拘りも強く、私達造り手がお施主さまのイメージに追いつくのが本当に大変でした。
しかしその苦労があったおかげで、結果、三幸住宅としても楽しく納得のいくものが造れました。本当にありがとうございました。

これからも末永くお付き合いよろしくお願いいたします。

有限会社 三幸住宅
代表取締役 新井克典

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里山に建つむくり屋根の家

 このお客さまは40代前半のご夫婦とお子さまという5人家族・・・。ご夫婦とも家を建てるなら和風住宅という強い思いがあり、その中でも起り(むくり)屋根に強い興味を持っていらっしゃいました。ただ和風起り屋根を「自信を持って施工できる」建築会社が見つからず、色々な会社に話を聞いたり、ネットで検索したりされていたそうです。
 そんな中で、ホームページから私達三幸住宅を見つけていただきました。起り屋根は私達が最も得意としている姿のひとつ、自信を持って施工させていただきました。
 お客さまのこだわりがあればあるほど、お客さまと施工側の頭の中にあるイメージの調整が難しいのですが、180時間を超える打ち合わせと、上棟後の現場での造作の微調整を重ね、お客さまの思いに私達大工のプライドをかけて応えることが出来たと思います。
 こうして出来上がったのが、平屋45坪起り屋根の家です。

※起り(むくり)屋根
日本建築独特の姿でその曲線は日本刀を思わせる鋭さと、目に映る柔らかさ、豪華さを兼ね備えたものです。

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住宅兼展示場

 日本建築・和風住宅というものは、住宅の中でも写真と実物が大きく異なる建築です。
 そして木組・無垢の家というものは、ただ無人で建っているものを見ても意味がありません。5年、10年、20年と人が住んだ後、その間に付いたキズや木の光沢にこそ、和風住宅が本来持っている趣があります。生きている和風住宅の良さを、ぜひご覧ください。

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H邸

 このお客様は、ご年配のご夫婦二人暮らしの方です。仕事もリタイヤし、お子様達もみんな独立をして、そろそろ家を建て替えてゆっくり、快適に暮らしたいと新築を考えていらっしゃいました。最初はいろいろ住宅展示場を廻ったそうですが、どうも自分達のイメージと違うということで、私達三幸住宅のOBのお客様の紹介でお話しを聞かせていただき、施工させていただく事になりました。
 ご要望は「落ち着いてた和風住宅で、最新の住宅性能とデザインに機能性を入れた内装にしたい」という事でした。中でも私達造り手が一番あたまを抱えたのは「平屋43坪もある単純な間取りに大きな1つの屋根をシンプルに造ってもらいたい」という点です。これだけの大きさの平屋に1つのシンプルな屋根を造ると、見た目がスッキリしすぎて公民館の様に見えてしまう恐れがありました。
 そこで出来上がったのが、起り(むくり屋根)の家です。

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S.I邸

 このお客様も、ご年配のご夫婦二人暮らしの方です。もともと私達三幸住宅のお得意様だった事もあり、間取り、その他の打ち合わせもスムーズに進み、和風平屋、造り出窓、玄関入母屋屋根の38坪+小屋裏収納の家が出来上がりました。

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S.C邸

 このお客様は、ご商売をなされている6人家族の2世帯住宅です。
 1階がご両親、2階が息子さんご夫婦とお子様という家で、私達三幸住宅とは昔からおつき合いさせていただいているお客様です。
 家は2階建て80坪、ケラバ破風入母屋造りと大迫力の家が出来上がりました。

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H邸

 このお客様は、私達三幸住宅と昔からおつき合いさせていただいているお客様からのご紹介で施工させていただく事になりました。
 家は2階建て70坪、外観は複雑な切り妻屋根で幾重にも切り妻が重なり、見た目にも迫力が出せました。和風住宅の代表する屋根には、入母屋、寄せ棟、切り妻と3つありますが、一番スッキリ見える切り妻も、これだけ重なると見応えがあります。

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S.M邸

 このお客様も昔からの私達三幸住宅のお客様で、地元で何百年続く名士の家です。6人家族で純和風造りの63坪、屋根は化粧木小舞二重野地寄せ棟造りです。
 屋根は構造上シンプルな方が雨漏りなどのリスクは少なくなりますが、この様に少し変化をつけると、見た目の豪華さは倍増します。

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S.T邸

 このお客様は、私達三幸住宅のOBのお客様からのご紹介で施工させていただく事になりました。 立地が住宅街なので、純和風建築であるこの家はかなりの存在感を出しています。お客様は今まで平屋の家にお住まいになっていたため、こんど建て替えをする際には2階建ての和風の家にしたいと昔から思っていたそうです。
 そのため、色々なところに旅行に行くたびに、建物を見て研究なされていたということでした。そして出来上がったのがこの、2階建て48坪の純和風住宅です。

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K邸

 このお客様は、ホームページから私達三幸住宅にお問い合わせいただいた方です。まだ30代前半のご夫婦で家族総勢8人の楽しく、にぎやかなお客様でした。家を新築しようと考えて色々な工務店やハウスメーカーを廻ったようですが、自分達がしたいことと予算がどうしても合わず、諦めかけていたところで私達三幸住宅のホームページを目にして連絡をくださいました。
 最初は奥さまとお話をして、とても家族のために一生懸命な印象を受けました。そこで私はひとつひとつ家へのこだわり、妥協点を細かく詰めていき、なんとか上棟、完成までこぎ着けました。
 私達もとてもやりがいのある仕事で、本当に建築会社とお客様の二人三脚という造り方ができ、私達にとってもとても思い入れのあるお客様になりました。

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