木の家・無垢住宅について

 いま現在、注文住宅の家造りはいかにエネルギーを消費せず生活していける性能を持っているかはもちろん、健康住宅をイメージさせる「木の家」や「無垢住宅」というフレーズもよく耳にします。
 私達造り手側(施工業者)からみても、各社同じようなことをアピールしているように思います。しかし、「木の家」や「無垢住宅」といってもその中身は様々、組み合わせによって多様です。

その一「断熱材」

 木の家や無垢住宅の中で、仕上がったときに目に見えないものひとつに断熱材があります。いくら木の家、無垢住宅を施工している建設会社でも断熱材にまで自然由来のものを使うことにこだわっている会社は少ないと思います。
 断熱性能に関しては、その数値(熱抵抗値など)が同等であれば、どの断熱材を使っても同じ住宅性能が出せると考えられます。
 しかし、注意点があります。各断熱材メーカーが出している数値というのは、壁の中にメーカーの施工基準通りに断熱施工された場合を想定した数値です。
 実際の現場で施工する際には、壁の中に筋交い、構造用金物、電気ボックス、電気配線などがあり、メーカーの想定通りに施工できるとは限りません。

 そこで重要なのが、各断熱材の施工性です。せっかく性能の良い断熱材を使っても、うまく施工できなければ100%の性能を出せません。
 また施工の難易度は、そのままコストに反映されることにもなります。
 このような理由から、自然由来の断熱材を標準としている住宅会社が少ないのだと思います。
 健康上の都合で考慮が必要な方でなければ、新築住宅を作る際の断熱材に関しては、どの断熱材を使用しても問題はないと思います。

■断熱材の種類について
 現在一般的に使われている断熱材には次のようなものがあります。

・現場施工系(アクアフォーム・アイシネン・セルロースなど)
・綿、マット系(グラスウール・ロックウール・アクリアなど)
・ボード、板系(スタイロフォーム・ネオマフォーム・カネライトなど)
・木の繊維(ウッドファイバー)
・羊の毛(ウールブレス)

 これらの断熱材に関して施工性、コスト面で一長一短がありますが、私達三幸住宅では、全棟「羊の毛(ウールブレス)」を標準として施工しています。
これは、私達の施工技術への自信の表れでもあります。

その二「床」

 いまの住宅の床は下張りと仕上げの2重張りが主流ですが、それぞれ別の材料にすることが出来ます。

■新建材下地と無垢材との併用
 これは1重目(下張り)で根太工法なら12㎜のベニヤ、直張り工法なら24㎜もしくは28mmのベニヤを張り、2重目(仕上げ)で無垢の木(杉・檜)を張るという施工方法です。
 この工法は化粧に張った無垢材の良さを生かし、かつ温度や湿度による無垢材特有の狂いを最小限に抑えられる、一番良い方法だと思います。

■無垢材下地と無垢材
 この仕様は根太工法でしか施工できませんが、すべて無垢材を使った床組みが出来ます。
 しかし下張りも無垢材(杉など厚さ12~15mm)を張るため、下張りも温度や湿度の影響を受けやすく床鳴り(※1)や床の隙(※2)の原因のひとつとなります。
 接着剤(※3)を併用して施工するのでその様な狂いも最小限に抑えられますが、この施工には経験が必要です。

※1 床鳴りとは、歩いたときに「ギシッ」「ミシッ」といった音が止まらない現象のことをいいます。
※2 ボンドが主ですが、にかわなど自然由来のものを使えば、すべて自然素材で造ったといえるでしょう。
※3 無垢材は乾燥、経年変化などにより、床材と床材の間に隙間ができることがあります。

その三「壁」

 壁に関してはプラスターボード(石膏ボード)の下地後、主に漆喰、珪藻土、和紙などを施工するのがいいでしょう。
 その他に木材板(杉、檜などの羽目板)を直張りする方法もありますが、全面に木材板を張ると仕上がりが少ししつこくなり、好みが大きく分かれます。
 壁施工の本来の自然材料といえば、竹で小舞(木舞)を組んで泥壁で仕上げる施工方法ですが、この場合は経年劣化や地震によるダメージが大きい上に、施工費や工期も大幅に増えてしまいます。
 またその木組みの特性上、気密性能を保つのも非常に難しいと思います。

その四「天井」

 天井に関しては壁と同様にプラスターボードの下地後、漆喰、珪藻土、和紙などで施工、もしくは木材板を直張りするのが良いでしょう。

その五「建具・住器類」

 木の家、無垢住宅の建具に関しては、木と和紙、ワーロンを中心に1本1本建具屋さんが手造りします。
 無垢材を使った既製品もありますが、既製品を使うと幅や高さが決められてしまうので、やはり木の家、無垢住宅には建具職人さんを入れたいところです。
 住器(キッチン、トイレ、洗面化粧台、ユニットバスなど)については、水廻りですので各水廻りメーカー(LIXIL、クリナップ、トクラス、TOTOなど)のものを機能的にもお勧めします。
 しかし、キッチンやトイレカウンター、洗面化粧台については、造り付け木製家具として造ることは可能です。

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